2016.01.18 [ 齋藤 健太郎 ]

私は,後見人,保佐人という仕事をそれなりにさせて頂いています。

いずれもご本人の代わりに財産管理をしたり,生活の場所を考えたりする仕事ですので,財産も預かり保管しつつ,様々なことを代わりに行っています。
ときには不動産を売ったり,修繕を行うこともありますし,誰かに訴えを提起することまであります。

しかし・・・ご本人がお亡くなりになるとこれが大変なことになります。
後見人の仕事は,ご本人が亡くなった途端に終了してしまうのです。
終了するということはどういうことかというと,全くタダの人,完全な他人になってしまい,これまで行っていたことが全く出来なくなるということです。
そして,お亡くなりになった後に必要なことも思うようにお手伝いできなくなります。
例えば,葬儀費用の支払いや債務の支払についても,亡くなった方に相続人がいる場合には,後見人として行うということはできず,財産を引き渡したうえで,相続人の方に行ってもらうのが原則ということになります。
これがなんとも不自由で困ってしまうのです。

これまでやってきたことを考えると,突然に何もできなくなってしまうのはあまりに不都合が多すぎます。
相続人の方がいる場合には,早期に引き継げばどうにかなりますが,相続人がいないような方の場合には,誰が葬儀や債務の支払を行うのかという問題も生じます。仕方がなく,後見人だった弁護士が明確な権限がないままに行うこともあると聞いています。
これまでも沢山議論がなされてきましたが,なかなか対策もなさそうです。
亡くなった後に何らかの処理ができるように権限を与えることについても検討の余地があるように思います。