2016.01.25 [ 齋藤 健太郎 ]

犯罪を疑われて逮捕される場合において,どのような場合であっても新聞で実名が報道されるわけではありません。

犯人に実名や,住所まで出ることもあれば,全く出ずに「30歳代の男」としか出ないこともあります。
そらく,私が罪を犯したと疑われて逮捕されれば,直ちに「札幌弁護士会所属弁護士齋藤健太郎(38歳)が痴漢で逮捕された」というように肩書き付きで,実名報道されるでしょう。

実名報道されるかどうかは,意外とその人の人生を大きく左右します。
地域の小さい社会で生きている人にとっては,かりに冤罪であったとしても一生付きまとう事実となります。
しかも,かりに証拠不十分などの理由で釈放されても,釈放されたことは実名でのニュースにもなりません。
一方的に悪い事実だけが流されてしまいます。
そして,GoogleやYahoo!などの検索エンジンで,名前を検索すると,前科の情報まで出てきてしまうこともあり,何年経っても消えないことになります。
忘れられる権利などという言葉がよく使われるようになりましたが,そもそもそれ以前に実名報道をするか否かについても何らかの基準があってもいいのではないでしょうか。
冤罪の可能性もある一方で,実名報道されるということは,とても大きな不利益となることがあるからです。

たとえば,
1 犯罪の重大性
2 被疑者が否認しているか否か
3 被疑者が公的な立場にあるか否か
などを考慮するなどでしょうか。

明確な基準にならないので難しい問題ではありますね。