2016.05.03 [ 齋藤 健太郎 ]

どうして日本人って,反省とか謝罪とかが好きなのでしょうか。

先月,最高裁が,有識者委員会による検討も踏まえて,ハンセン氏病患者に対するこれまでの裁判の扱いについて,調査報告書を作成し,「違法」だったとして謝罪しました。
しかし,最高裁は,平等原則違反,裁判の公開違反という点については,憲法違反であるとは認めず,「違憲」ではなく,「違法」であるというにとどめました。
私は,この話を聞いて,ニーチェじゃありませんが,「日本的,あまりに日本的」と思いました・・・。

同じ扱いをできる状態にあったのに,それを実現しなかったのですから,憲法違反であることは疑いようがない事実です。
公開していたかどうかという問題はなんとか言い逃れできるとしても,平等原則違反は,有識者委員会もはっきりと明言しているように違憲以外のなにものでもないはずです。
そこに,極めて官僚的な保守的発想が入ることによって,どうしても違憲と言いたくないということになるのでしょう。
その一方で,なぜか謝罪はするというバランスの取り方をするのかが本当にわかりません。
そんな謝罪よりも,憲法違反であったと明言することの方がどれほど救いとなったことか。

とか思ってたら面白いニュースに触れました。

以下,毎日新聞のニュース記事より。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160502-00000070-mai-soci

「停職期間中に不適切な内容をフェイスブックに投稿したとして、岐阜県池田町は2日、同町民生部住民課の女性主事(30)を地方公務員法(信用失墜行為の禁止)違反に当たるとして懲戒免職にした。免職処分について、田口貴弘総務部長は「反省すべき停職期間中に町の信頼を損なう行為をした責任を重くとらえた。反省の様子もみられず妥当な処分」と話している。
 町によると、元主事は勤務時間外に名古屋市で接客の仕事に従事し、300万円程度の報酬を得たとして昨年11月、停職6カ月の懲戒処分を受けた。その直後、自身のフェイスブックに旅行先で食べたカニの写真や「ママ友と海鮮ざんまい」とのコメントを投稿。住民から町に「停職中なのに不謹慎」との批判が寄せられた。
 上司が注意したが、元主事は今年3月、旅行先の奈良県で食事した時の様子をフェイスブックに投稿。肉や野菜の写真とともに「食べ過ぎて撃沈。動けない。誰か助けて」とコメントしていた。」

まあ,停職自体は相当でしょうし,いかにも不謹慎なことは認めます。

しかし,停職中に旅行したり美味しいものを沢山食べたらダメというのは何か明確な決まりがあるのでしょうか?日本人の大好きな「反省」が暴走していないでしょうか?

停職については,国家公務員法83条に「職員としての身分を保有するが,その職務に従事しない」「停職の期間中給与を受けることができない」とされており,岐阜県池田町の「職員の懲戒の手続及び効果に関する条例」にも同様の定めがあります。

給料を全く受け取れないという重大な処分を受けており,それが処分の主体ですので,その間の行動について自宅で大人しくしていなければならない義務は直ちに導き出されないように思うのです。それで信用失墜行為として懲戒免職までするのは,やや処分として合理性を欠くのではないでしょうか。

それにしても,この女性は賢くはありませんね。SNSに二度に亘って出しちゃうとは。

ねえ,賢い人々は,とりあえず謝って反省したフリをするんだよ・・・などとつい思ってしまいますね。