2016.05.23 [ 齋藤 健太郎 ]

第三者が世間を賑わせておりますね。

え?なんのことかわからない?
それはマスコミに流されない芯の強い方ですね。

第三者という言葉は法律学でも良く使います。
最初の方で勉強する言葉に「善意の第三者」なんて言葉があります。

齋藤さんが,お金を借りている人から,自分の土地の存在を隠すために,登記名義を小西さんに変えていたとします。小西さんは本当に根っからの悪人なので,そのことを知らない神村さんに1000万円で売ってしまいました。
このとき,齋藤さんから見て,神村さんは「善意」の「第三者」なので,土地を取り戻すことができません。
「善意」というのは,神村さんが齋藤さんの土地だということを「知らなかった」ことを意味します。少し普通の使い方とは違いますね。神村さんは本当は腹黒い人ですが,齋藤さんの土地だと知らなければそれだけで「善意」です。
第三者という点については,齋藤さんが神村さんのことを良く知っているかどうかとか,仲が良いかどうかは関係なく,齋藤さんの土地を小西さんから購入すれば第三者です。

さて政治の世界ではどうでしょうか。
政治家Mさんが政治資金を個人的なことに使っていて,そのことが発覚してしまったとしましょう。
Mさんは,どうにか生き延びたい一心で,その事実を知らない,政治にも関係していない「公正な第三者」である検事出身の弁護士に,調査してもらうことにしました。みんなそれくらいやってるよ・・・俺だけがどうして・・・そんな思いもあったのでしょう。
そして,Mさんは,公正な弁護士にチェックを受けて,その弁護士が問題はないとは言えないけど,そこまで悪いところはないよと言ってくれれば,どうにかなるんじゃないかと思っていました。その弁護士は,懇意にしている政治家からの紹介だったので,そのことは以心伝心で当然に伝わると思っていたのです。ところが!
その第三者は,本当に「公正」かつ「善意」の人だったのでした。
徹底的に事実関係の調査を行って,Mさんの説明を一刀両断し,完全に「クロ」との報告書を作成しました。
その弁護士は正義の人として,一躍時の人となりましたが,一方で,Mさんは政治家を辞めざるを得なくなりました。

......なーんてことになると面白いですが,実際には歯切れの悪い,屁理屈が並んだ調査結果になるんでしょうな。
自分でやったことについてなぜ第三者の調査が必要なのかようわかりませんな。
まずは説明でしょう。
説明ができない政治家は死んだも同然です。