2016.06.07 [ 齋藤 健太郎 ]

どうも予言者の齋藤です。

この度,以下のブログにて,ヤメ検が選ばれて適当に事を治めると予言していたところ,そのとおりになりました。

特にここのところ素晴らしいですね。
問題はないとは言えないけど,そこまで悪いところはないよと言ってくれれば,どうにかなるんじゃないか」

これは桝添さんのお気持ちを代弁したものでしたが,今回の調査結果は,「不適切だが違法ではない」ということの繰り返しであり,まさにこのとおりでした。

しかし,何より素晴らしいのはヤメ検の方の法的考察の深さでしょう。

政治資金規正法の虚偽記載にならないのかという記者の問いとヤメ検さん達の以下のやり取りを見てみましょう。

--飲食費や宿泊費について、是正の必要があるということは、虚偽記載にあたると認定することはできないのか

森本氏「飲食については、家族抜きで政治活動の一環として利用したと認められるときのみ適切であると判断いたしました。それ以外は不適切という認定をしました」

なるほど〜。
「家族抜きで政治活動の一環として利用したと認められるときのみ適切である」というのは,家族つきの場合の飲食費を会議費にしたら虚偽記載で違法ということですね。
え?違法じゃない?不適切?
記者は,違法かどうかを聞いているんですが・・・。

そこで大御所がフォロー。

佐々木氏「補足しますと、虚偽記載ではないかとの指摘ですが、きちんと不適切なものも(政治資金収支報告書に)書いたからこそ、皆さんが今、適切かどうかの判断ができているわけです。そういう意味では虚偽記載ではないと思います」

「きちんと不適切なものも書いたから・・・虚偽記載ではない」
なるほど〜。
政治資金のために使おうが使うまいが,日付とか場所とか金額とかちゃんと書いとけばそれで十分なのか〜。
って,んなわけあるかい。

問題は,「この支出は政治資金ですよ」という趣旨で,会議費として記載したものが,実際には会議費ではなかった場合には虚偽記載になるのではないかという重大な疑問です。
その点について,法律家として,自らの法解釈を明確に示すのが,最低限の職責ではないでしょうか。
たしかに政治資金規正法は,支出の適否については規制しておらず,異なる観点からの規制であるということはいえるでしょう。しかしそうであれば,その観点からの解釈を説明すべきだと思います。
なぜ虚偽記載にならないのかについて,屁理屈のようなもので逃げ切る姿勢は,法律家全ての信頼を失わせます。
今後,誰一人,第三者的な弁護士の調査結果を信じなくなるでしょう。

正しいことを正しいと言うのが本当に難しい世の中になりました。
否,もともと世の中というのはそういうものなのかもしれません。
それにしても,何かとヤメ検なのはどうしてなのかなあ・・・。