2016.07.26 [ 齋藤 健太郎 ]

皆さん。どういう場合に自首になるかわかりますか?

指名手配されている状態であれば,警察に出頭しても,実は刑法上の自首にはなりません。
よくテレビドラマとかでは,そういう状況でも「自首するんだ!」とか言っていますが,正確ではなく,単に出頭しろと言っているに過ぎません。
刑法42条第1項にはこうあります。
「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を軽減することができる」
すでに犯罪を犯したことがバレているのであれば自首にはならないのです。

さて,問題です。

小西さん(仮称)が,公衆の面前で下半身を露出しました。
上半身ならまだしも,下半身は完全に公然わいせつ罪になります。アウトです。
しかし,小西さんは仮面をしており,すぐに逃亡したので,誰も小西さんだということはわかりませんでした。
その後,スマホで撮影されていた仮面姿のままテレビに出てしまいましたが,小心者の小西さんは,目が細くて小さいという特徴があったので,このままでは自分だとバレてしまうのではないかと思い,ついに警察に出頭しました。
小西さんは自首したことになるでしょうか?

正解は・・・



自首になります。

先ほどの条文の「発覚する前に自首」ということについて,最高裁判例があり,
「犯罪の発覚前又は犯人の誰であるかが判明する前
を意味するとされています。

となると,犯人が誰かわからない状況であれば,たとえ犯罪を犯したことが明らかになっていても自首になることになりますね。

そして,単にビビって出頭した場合でも,自首にはなります。
反省していなくても自首にはなります。
もっとも,そんな場合でも刑が減刑されるかは別問題です・・・。