2018.11.23 [ 齋藤 健太郎 ]

長いこと担当していた医療事件で,先月10月にようやく最高裁で上告受理申立不受理決定が出て,勝訴が確定しました。
判決は4060万6646円及びこれに対する平成20年9月9日から年5分の利息の支払いを命じるというものです。

胸痛や胸やけを訴えて病院を受診した患者さんが,心電図を取ってもらったものの異常がなく,医師は逆流性食道炎だとして帰宅しましたが,その後,再度胸痛が出て夜間に同じ病院を受診しました。しかし,心電図もとってもらえずにそのまま数時間後に心臓不整脈が出てお亡くなりになってしまいました。
解剖の結果,心臓の血管(冠動脈)が血栓で閉塞している状態が確認されたことから,不安定狭心症(心筋梗塞の一歩手前のような状態)だとされました。

再度来院したときに心電図を取っていれば異常所見が出て,転送されることによって救命されたのではないか,その点に医師の過失があるのではないか,というのが本件の問題点です。

一審では敗訴しましたが,控訴審では逆転の勝訴判決を得ました。
病院側は和解に応じずに最高裁に上告受理申立というものをしましたが,それは通りませんでした。

ご家族には大変喜んで頂きました。
私としては嬉しいという気持ちはありますが,それよりも安堵の気持ちの方が強いです。
この事件は事故から解決まで10年以上が経過しています。
もっと早く解決されるべき事案だったと思います。

現在,もう1件最高裁に継続している医療事件がありますが,その結果が出ましたらまたご報告させて頂きます。
諦めず,粘り強く,考え抜いて,ベストを尽くしていきたいです。