2014.03.01 [ 齋藤 健太郎 ]

テニススクールに通うことをこのブログでご報告させて頂いておりましたが、子育てと弁護士業務に邁進していることが影響し(?)、未だ入会しておりません。
・・・全てはわたくしの不徳の致すところでございます。

私がテニススクールに通おうが通うまいがそんなことは皆様にとってどうでもいいことなのは百も承知ですが、宣言をしておきながら実行しないは信頼が問われる弁護士という仕事をしているものにとってはお恥ずかしい話であり、このまま何もなかったかのように過ごすことに良心の呵責を覚えるのです。

さて,あっさり話は変わりますが,最近,うちの3歳の娘が言うことを聞かないのでつい「後でいいものあげるからっ!」と言ってしまったことがありました。娘はその後,執拗に「いいものは〜?」と聞いてきます。当然いいものなんて用意していないので子供騙しを多用して切り抜けようとしますが全く納得せず。
約束というのは怖いものです。

一応法律の話をしますと、単なる約束破りと法的な意味での債務不履行(契約違反)とは大きく異なります。
簡単に言えば,それを裁判で強制できるかどうかという点が異なります。強制とはいっても,やらせようと思ってもすでに不可能となってる場合や,やらせることができない(やる気がない)ときなどはお金で解決ということになりますが,いずれにせよ何らかの形で責任を問われます。
友達との待ち合わせに遅刻しても,裁判で責任を問われるということはありませんが,納期に商品を納入しなければ責任を問われることがあるといった感じです。

では,問題です。
おじさんが甥っ子に「大学に入ったらポルシェを買ってあげる」という約束をした場合,これは裁判で強制できるでしょうか?
実は,単なる口約束ではなく,書面まで作成した場合には,裁判で請求できる可能性があります。

次の問題です。
妻のいる男性と「愛人になったら100万円あげる」という契約をした場合はどうでしょうか。
これは,良くない契約(公序良俗に反するなんていいます)ということで契約が無効になりますので,裁判でお金を請求することはできません。

かなり昔の事件ですが,「カフェー丸玉女給事件」という有名な事件がありました。
今でいうホステスさんに独立資金としてお金上げるよーと言って,その後,お金を払うという内容の契約書を作ったところ,その約束を果たせということで訴えられたという事件です。なんだかすごい事件ですよね。今で言えば,キャバクラで金持ちのふりをして,「かわいいなあ。君みたいな子だったら一人でお店をやっていけるよ。店を出すなら500万円だしてあげる」といったら,それを理由に訴えられたということです。
詳細は省きますが,大審院(今の最高裁)では,飲み屋でちょっと格好いいこと言っちゃっただけでは,裁判で強制することはできないよ・・・ということで差し戻されました。
結局,差し戻された後に,大阪地裁では男の方が支払うべきという判決となったようです。

いい加減なことを口で言うだけならいいですが,書面にするのはやりすぎたということでしょう。