2014.03.04 [ 齋藤 健太郎 ]

遺言・相続の事件というのは,弁護士であれば誰でも扱う事件ではありますが,思ったよりも正確な知識が大切な分野です。


遺言がない場合の相続は,民法で定められている「法定相続分」に従って分けるのが基本ということになります。

現在の法定相続分は以下の通りです。

① 配偶者と子供がいる場合 配偶者が2分の1,子供が2分の1

② 子供がおらず、配偶者と父母が相続人になる場合 配偶者が3分の2,父母が3分の1

③ 父母も亡くなっており、配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合

 配偶者が4分の3,兄弟姉妹が4分の1です。


常に配偶者は相続人になりますが,その割合は少しずつ違うということになりますね。


今ではこれは当然のことになっていますが,実は,このような分け方となったのは,昭和55年の法改正の後のことであり,昭和56年1月1日より前に死亡した人は違う分け方がされます。


①の場合は子が3分の2で配偶者が3分の1,②の場合は配偶者が2分の1で父母が2分の1,③の場合は配偶者が3分の2で兄弟姉妹が3分の1だったのです。


配偶者の取り分が,とても少なかったのですが,法改正で増えたということになります。


ここがうっかりしてしまうところなのですが,現在でも,昭和55年以前に死亡した方の相続については,法改正前の割合が適用されるので注意しなければなりません。

そんな古い人の相続なんてないよ・・・というかもしれませんが,そんなことはありません。ずっと不動産の名義をそのままにしていたなんてことはよくあり,その場合には古い割合で考えなければならないこともあるのです。


昭和55年12月31日に亡くなるか、昭和56年1月1日に亡くなるかによって,もらう額が変わってしまうのも少し変な感じがしますね。