2014.01.07 [ 小西 政広 ]

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20140107-00000024-ann-soci


強盗強姦容疑の被疑者が,

弁護士と接見中に逃走した,という耳を疑うようなニュースがありました。

この被疑者がどのような方法で逃げたのかは分かりませんが,場合によっては,刑法の逃走の罪により処罰される可能性があります。

気になったのは,「弁護士と接見中に逃走」ということ。

通常,弁護士と被疑者が接見する場合,ドラマなどでもお馴染みですが,
一つの部屋を,おそらく強固なアクリル板で遮り二つに分けた部屋に,それぞれ別個の入り口から入って接見をします。
被疑者は,アクリル板を破壊でもしない限り,弁護士側の入り口から外に出ることはできません。

被疑者側のドアの向こうには看守が控えており,おそらくは,被疑者側のドアを開けると,自動的に担当係に連絡が入る仕組みになっていると思います。

しかし,弁護士との接見は,法律上秘密が保持され,警察官の立ち会いがないので,その時間は警察官の監視から外れるということになりますので,その状況を利用することができたのかもしれません。

ただ,目の前で被疑者が逃げだそうとすれば,弁護士は,すぐに係の警察官に報告します。
弁護士は,被疑者の言い分を裁判所で主張し,被疑者の権利を守るという役割を持っていますが,逃走を支援するということは絶対にしません。それは被疑者の意向に反しても。

このニュースの内容には,弁護士が逃走を支援したかのようなニュアンスが含まれ,違和感がありました。

事実としては,これも推測にすぎませんが,弁護士が接見を終えて接見室から出た後,期を見計らって逃走したんだろうと思います。

弁護士は,警察から,接見が終わったら速やかに報告するように要請されています。

しかし,接見が終わった時に,外に警察官が誰もいない場合など,報告をしないことも時折あります。

そんなときには,被疑者は,個室に1人になった時間を利用し,担当者がいなくなる時間を何らかの方法で把握した上で,逃走することもできるのかもしれません。

弁護士としては,自分の被疑者・被告人が,自分との接見を利用して逃走することなど考えたくもないことですが,このように利用されてしまうことがありうることを十分に認識しておかなければならない,と考えさせられました。


平成25年1月9日追記

捕まりましたね。

まずは周辺住民も一安心でしょう。

判決が確定するまでは無罪推定が原則ですが。

ところで,接見したのは検察庁ということでしたね。

しかも接見用の部屋がなかったようで。

私は,検察庁の,接見用でない場所で接見したことはありませんが,接見用の部屋ではありませんから,通常よりは逃げやすいのかもしれません。