2014.03.18 [ 小西 政広 ]

他人のための家事に従事する主婦が交通事故に遭って,家事ができなくなってしまった場合,

その家事ができない期間については,収入の減少がなくとも,事故の加害者に休業による損害を請求することができます。

家事労働を金銭に換算する場合,賃金センサスという平均賃金の統計により,

女性で,学歴を問わず,年齢を問わず,

とした場合の平均年収を基礎として1日当たりいくら,と算出します。

この家事労働ですが,現在の裁判実務では,主婦ではなく,主夫の場合にも,女性の平均賃金を採用します。

そうなると,主婦労働は原則として女性のもの,と裁判所が宣明していることにならないでしょうか。

家事は本来女性がやるものなんだから,その労働の対価を考えるのに女性の平均賃金を使うのは当然でしょう,と。

家事は女性がするもの,と決めた法律などありませんし,時代の趨勢からすれば,このような解釈にはそれを裏付ける事実がないと思います。

家事労働の対価は,男女併せた平均賃金と解釈すべきでしょう。