2014.04.02 [ 小西 政広 ]
交通事故に遭われた方の相談を受けていると,
加害者側保険会社から,「通院は1日4200円ですよ,上限は治療費も併せて120万円ですよ」と説明されました,という話をよく聞きます。
この説明は,確かに誤ってはいません。
自動車保険には,大きく分けて2種類あります。
一つは,自賠責保険。これは,必ず入らなければならないので,次の任意保険との対比で,強制保険ともいわれます。
もう一つは,入るも入らないも自由である任意保険です。
車を運転されるほとんどの方が,この任意保険に入っています。
それは,自賠責保険では,事故によって損害を与えてしまった相手に対する賠償金に,限度があるからです。
簡単に言うと,相手の車が壊れてしまった分は,自賠責では出ない。そして,怪我の治療費は出ますが,後遺症のない怪我の場合,120万円という上限があります。
また,慰謝料の計算方式は,
通院期間か,通院日数×2の少ない方に対し,1日当たり4200円をかけたもの
となります。
本来,受けた損害を賠償してもらうのに,上限はありません。また,通院慰謝料の計算方式についても,自賠責の基準より,裁判の基準の方が高いのです。
保険会社の説明は,嘘ではないのです。
「自賠責の基準では」「通院は1日4200円ですよ,上限は治療費も併せて120万円ですよ」
この「自賠責の基準では」というフレーズを言っていないだけで,誤った事を述べているわけではない,ということです。
示談した後にこんな話を聞いてしまうと,やはり怒りたくなるのも当然ですから,明確に誤りとは言えなくても,やはり誤っているのです。