2014.04.09 [ 小西 政広 ]

交通事故を起こしてしまったとき,物損で済むか,人損となるか,は大きな違いになります。

簡単に言えば,後者は犯罪,前者は犯罪ではない。

過失によって人をケガさせてしまった場合,自動車運転過失致傷,ということで,刑法上の犯罪になるんですね。

他方で,物を壊してしまっただけの場合は,過失しかなければ,犯罪ではない。

わざとやったと言うことであれば,器物損壊罪という犯罪になりますが。

人損となってしまえば,免許証の点数も加算されますし,事故を起こしてしまったことの代償は大きくなります。

被害者側になった場合。

ケガをしていても,

加害者からは,ちゃんと損害を補償するので,物損扱いにしてくれないか,などという提案がされることがままあります。

確かに,人損にするか物損にするかは,警察に届け出る事項に過ぎず,物損にしたからといって,必ずしもケガの治療費をもらえなくなる,というわけではありません。

しかし,物損にする程度の事故だった,その程度の軽いケガだった,ということを暗に示すものとなってしまうことがあります。

長期間治療しても治らない後遺症が残った場合,物損扱いにするくらい軽い事故だったんだから,そんな後遺症なんて残ってるはずがないでしょ,と見られてしまうことがないとはいえません。

たとえ事故当初は,物損にしたとしても,ケガの治療で病院に行くことになった場合には,ちゃんと人損扱いにして,警察にもそう報告して下さい。

さらに,またまた重要なのが,警察は,人損だと,実況見分調書,という,事故がどのようにしてどこでどのように起こったかを記録する報告書を作成します。現場検証と言う方がわかりやすいでしょうか。

後々,過失が争われることになった場合には,これが非常に重要になります。

人損は犯罪なので,犯罪として処理するためには,警察としても詳しい状況を記録しておかなければならないということなのです。

物損では,この実況見分調書は作成されません。

いずれにしても,人損なのに,物損のままにしてしまったことによるリスクは,自分で負うことになってしまいます。