2014.09.09 [ 小西 政広 ]

平成25年1月1日施行の家事事件手続法によってです。通常の訴訟は,以前から一定の条件のもと,電話による出頭が認められていました。

家事事件手続法54条1項
「家庭裁判所は,当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは,当事者の意見を聴いて,最高裁判所規則で定めるところにより,家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって,家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。」

この条文により,どうしても遠隔地の裁判所に申立をしなければならない調停については,事務所にいながら電話によって出席することができるようになりました。

知識としてはありましたが,この度,これを使わなかれば弁護士費用が多額になりすぎてしまう事件の依頼を受け,該当する裁判所に確認したところ,まだ運用実績はないものの,電話での調停を認める可能性は高い,との回答を得ました。

家事調停は,原則として相手方の居住する土地を管轄する家庭裁判所に申立をしなければなりませんが,電話による調停ができなければ,毎回遠隔地に赴かなければならず,それだけで申立を諦めざるを得ないケースはこれまで多々あったと思います。

裁判所に行く労力だけで一方当事者のみに過大な負担がかかり,訴えを諦めなければならないとすれば,それは致命的な欠陥です。

家庭裁判所がより利用しやすくなりました。