2015.11.18 [ 小西 政広 ]

10年前に交通事故のむち打ち症で後遺障害等級14級と認定された方が,10年後症状はなくなっていた頃に再び交通事故に遭い,同じくむち打ち症による症状が同じ部位に残存し,それが後遺障害等級14級相当と評価できる場合,後の事故の後遺障害は,どのように評価されるのでしょうか。

一般に,後遺障害というのは,「もう治らないもの」という意味になります。
足を切断しなければならなくなった,という状況を考えるとそうなります。

しかし,むち打ち症による後遺障害については,5年程度で治る前提で,損害が計算されているのが実務です。

10年前にむち打ち症で後遺障害となった方は,その後5年程度分の損害賠償しか受けていないことになり,また,5年程度で治るものと仮定されていたのですから,その後同じ部位に同じ程度の後遺障害を負った場合に,後遺障害が残っていることを理由としてこれを評価しないのは,矛盾することになります。

後遺障害と一言にいっても,それぞれの状態の特性を踏まえた結論を出さなければならないのです。