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齋藤 健太郎弁護士ブログ

原発と戦争

2014.07.08 [ 齋藤 健太郎 ]

原発と戦争には共通点があるといつも思う。

原発も戦争も経済と深いつながりがある。

原発も戦争もそれで儲かる人間がいる。

原発も戦争も命が失われる。

そして,原発も戦争も始めた人は責任を負わない。

経済が駄目になる?
別にいいじゃないか。
なんで住む場所と健康を危険にさらしてまで電気を得なければならないのか。
本気で言っているとは思えなかったが,かつて多くの戦争(全て?)が利権のために行われたことを考えて,実はこの人達は本気なんだと気づく。
金のために命と子供の将来を犠牲にすることは誤りなのだということを言い続けても,この人達には届かない。
ピュアな人は戦争が自分達を守るために必要だと本気で信じている。
世の中には自分の子供が被爆したり戦争で死んで初めてその悲しみの深さと誤りに気がつく人がいるんだから仕方ない。
目の前で原発がメルトダウンして,放射性物質をまき散らしても,まだ安全に出来ると言う人達には何を言っても通じないのかもしれない。

医療事故の和解と口外禁止条項

2014.07.06 [ 齋藤 健太郎 ]

Aさんは,医療事故で大きな被害を受けました。
その後,齋藤健太郎弁護士に相談したところ,「医師に責任がある可能性があります。調査してみてはどうでしょうか」といわれました。そこで,弁護士に依頼し,まずは,証拠保全手続によって,記録を入手しました。

その記録をもとに,齋藤健太郎弁護士は,いろいろな医者に話を聞いたところ,「これは医師に責任がありますね」「通常はこのような治療はしません」「後遺症は残らなかった可能性が高いといえます」などという回答を得ました。慎重な検討を繰り返した結果,医療機関に対して責任を追及する内容証明を作成し,送付することにしました。

しかし,それに対して医療機関は,自分達の責任がないとの回答をしてきました。
Aさんは,大きなショックを受けました。
Aさんが何より欲しかったのは,後遺症の原因が自分ではなく,医療行為にあること,そして医師に責任があることを医療機関が認めて謝罪をしてくれることでした。当然,補償という意味でのお金も必要ですが,前を向いて生きていくためにも,何が起きたのかを知りたいという気持ちがとても強くありました。
ところが,医療機関は,いとも簡単に責任がないとの回答をしてきたのです。その回答には,十分な説明はなく,訴えるなら訴えればいいとでもいわんばかりの内容でした。

そこで,Aさんは悩みながらも訴えを起こしました。
齋藤健太郎弁護士は,相手の医師の詭弁を追及し,たくさんの文献を出し,こちらの見解を示す医師の意見書を提出しました。
証人尋問でも,相手の医師を追い込んで,こちらの専門家の証言もしっかり裁判の場に出すことができました。

裁判の流れからは,Aさんの言っていることが正しいということが裁判官にも理解してもらえている感触がありました。

そこで,裁判所から和解による解決が打診されました。
Aさんは,すでに事故から2年が経過していることから,少し疲れていました。
また,裁判所の和解案が医療機関の責任を一定程度認めるものであれば,応じても良いのではないかという気持ちもありましたので,和解の話を進めることにしました。

裁判所からは,6000万円の和解案が出されました。
Aさんの失ったものを取り戻すには少なすぎましたが,Aさんとしては前向きな気持ちになれるのではないかと思えました。
しかし,Aさんとしては,一番欲しかった責任を認めて謝罪をしてもらうということが和解案にはありませんでした。そこで,齋藤健太郎弁護士にお願いして提案をしましたが,医療機関はそれには応じないといいます。
しかも,医療機関からは,本件に関することについて,「第三者に口外しない」という条項を入れない限り,和解しないといわれました。

Aさんは思いました。
これからも同じような人を出さないために,医療機関としてはこのことを公表すべきではないのか?
なぜこのようなことを起こしてしまったのかを検討し,再発を防止するためにも,公表して,他の医師などの意見を広く聞くべきではないのか?
でも,医療機関の考えることもわからないではありません。事故を起こした病院には誰も行きたくありませんし,それによって病院の評判が落ちてしまえば,やはりダメージになるということもわかります。

そこで,Aさんとしてはやむなく口外禁止条項を入れた和解をすることにしました。

さて,このAさんの事件はフィクションではありますが,医療事件における典型的な解決の流れといえます。
しかし,あくまでこの解決は妥協の産物でしかありません。
Aさんの願いや想いというものが本当に実現できたのでしょうか?
口外禁止条項を入れることが本当に正しいのでしょうか?

私としては,より良い医療というものに少しでも繋がることを考えて医療事件をやっているところがありますが,口外禁止条項が入ってしまうとそのことが公表されず,なかったことになってしまいます。
黙っててくれれば金を払うというやり方にはどうしても疑問を感じてしまいます。
無理は承知でいいますが,むしろ積極的に公表していくぐらいの対応をしてもらいたいと思います。

転ばぬ先の杖〜遺言という保険〜

2014.07.06 [ 齋藤 健太郎 ]

世の中には「保険」というものがあふれています。
生命保険,火災保険,学資保険,車両保険など,たくさんの種類があります。
日本では,意外に保険の加入率というのは高いのではないでしょうか。むしろ,保険というのは入らなければならないものという感覚があるかもしれません。

保険はまさに「転ばぬ先の杖」であり,何かあったときの備えということになります。

保険の対象となるような事故は必ず起きることではないのに対して,相続というものは亡くなった後には必ず生じるものです。
そして,一定の割合で揉め事が生じます。また,実際にもらうべき人がもらえないという問題が生じてしまうこともあります。
そのようなことが起きる確率がどの程度かは,ある程度見通しも立てられますが,実際には亡くなってから初めてわかるということもあるでしょう。

そうであれば,自分の死後に問題を生じることを避けるために,ある程度の財産があれば,誰でも遺言は作成しておくべきだということになります。実際には,日付,氏名,全文を自分で書いたうえで,印鑑を押しさえすれば,費用もかからずに簡単に遺言を作成することができます。紙とペンがあればできるのです。

しかも,遺言を後で作ろうと考えていても,認知症や病気・事故による高次脳機能障害などになると,遺言を作成する能力がなくなってしまうこともあります。そうなると手遅れです。

私の知る限りでは,遺言を作成している人の割合はかなり低い状況にあります。
皆さん,まだ早い,自分は大丈夫,家族は仲良しだ,お金はあんまりないなどと考えているのかもしれませんが,残された人のことを思うのであれば,生命保険と同様に保険としての遺言を作成しておくのが望ましいでしょう。

医療事故調査制度がとうとう発足

2014.06.24 [ 齋藤 健太郎 ]

予期しない死亡事故が発生した際に,院内での医療事故調査を義務づける法律が,6月18日成立しました。来年の10月から施行されます。

法律の名前は,「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」・・・長いですね。
略称は「医療介護総合確保推進法」ですが,略称になっているのか大いに疑問です。

さて,このような制度が発足した背景には,「医療の萎縮を防ぐ」ということがあると言われます。
特に,刑事事件として立件することになると,医療が萎縮してしまうという問題が指摘されており,私もむやみやたらに刑事事件とすることには反対です。
しかし,私の感覚では,例外的な悪質な事件は別として,検察は簡単に医療事故を刑事事件として立件しているとは思えません。家族が告訴したとしても,基本的には起訴せずに対応しているという印象です。一部のやり過ぎてしまった事件(大野病院事件など)が妙にクローズアップされていますが,現在ではむしろ医療崩壊や医療の萎縮などというものをおそれて,医療を大切にしようという風潮の方が強い様に感じています。

また,すでに一度ブログでも書いたように,医療訴訟は実際には減っています。2004年には年間1100件の訴え提起があったようですが,2012年には793件に減っているのです。

このような状況において,原因究明を医療機関の義務とすることにはいったいどのような意味があるのでしょうか。原則として外部の医師が入るようですが,互いに守り合う風土のために,厳しい検討ができないおそれが相当あります。また,当然のことながら,医療機関は自らの責任を追及されないように様々な方策を試みる可能性があります。
患者側が最も恐れるのは,病院側の証拠の書き換えや隠匿です。
それを防ぐための実効的な制度がないまま,院内調査を義務化することは,病院側に調査という口実と時間的猶予を与えることになりかねません。医療機関の善意に委ねるような制度で,果たして患者や遺族は納得するでしょうか。

また,この制度には,適切な賠償という観点が欠落しています。たしかに再発防止は重要な観点ですが,現実に被害を受けた方を目の前にして,「今後はないようにします」というだけでは足りないのではないでしょうか。
被害に対する賠償を受けることを実現するためには,「法的責任があること」を病院側が認めなければいけませんが,病院側が自ら謝罪をすることも,また,法的責任を認めるということも,極めて難しいことといえます。結局のところ,院内調査をしても,第三者機関の調査をしても納得できなければ裁判に成らざるを得ません。裁判の前にほどよいところで納得させて諦めさせるという制度ではないのであれば,賠償責任の履行も視野にいれて検討しなければならないのではないでしょうか。

さらに,制度としては院内調査に納得がいかなければ第三者機関に調査を求めることができるようになっているようですが,その調査についても,①事実認定が十分になされることが担保できるか,②公平性・中立性の担保が可能か,③調査結果が法的責任の追及の妨げにならないかなどの疑問があります。

正直,運用が始まってみないとなんともいえないところもありますが,問題点があるということはここで指摘しておきたいと思います。

あまのじゃく

2014.06.10 [ 齋藤 健太郎 ]

白鵬の奥さんを大切にしていました会見について,諸方面から大絶賛の嵐のようですが(当事務所の神村弁護士のブログもご参照ください),私の感想は,良くも悪くも「文化が違うなあ・・・」という感想です。

白鵬の会見拒否は,5月26日のことのようですが,発表は6月5日であり,わずか10日間。
この10日間で奥様の傷は癒えるはずもなく,この期間を伸ばすことにどれだけの意味があったのかよくわかりません。
むしろ,このような発表の仕方によってより流産の事実は広く知れ渡ることになりました。

日本人的発想だと,もっと時間をかけて,会見拒否も忘れられた頃に発表するのが美徳だと思ってしまいます(場合によってはずっと発表しない)。
自分は悪者になり,その評価が固定してしまうことも厭わない。
それでも妻のことを最優先する。

白鵬の対応は,外に向かって「愛している」を連呼するあたりも含めて,私の大好きなアメリカドラマ的であり,涙を流すにはもってこいですが,少し深みにかけるような気がしました。

当ブログが炎上しないことを祈ります。

ゾンビ,吸血鬼,悪魔,超能力

2014.06.10 [ 齋藤 健太郎 ]

さて,これは一体なんでしょうか。

これはアメリカの映画・ドラマを語る際には不可欠なものです。
これ以外にも色々ありますが,私が気になるのはこの4つです。

日本の映画やドラマをみても,実はそんなにこれらのテーマを扱うものはありません。
超能力については少しあるかもしれませんが,ゾンビや吸血鬼ですごい人気の出たものというのを私は知りません。
しかし,アメリカの映画,ドラマでは頻出です。繰り返し用いられています。最近では「ウォーキング・デッド」というゾンビのドラマがものすごい人気があります。私も最初は「またゾンビかよ」とおもいましたが,現在はすっかりファンの一人です・・・。このドラマのおかげですっかり睡眠時間が削られてしまった時期もありました。なにせゾンビがリアルですし,登場人物がいずれも魅力的で,人間ドラマとしての深さもある。

宣伝みたいなことしてしまいました。

悪魔がよく出てくる背景にはキリスト教の影響などもあるのかもしれません。
また,超能力については,どこかで進化というものを信じる傾向があるのかもしれませんが,進化論はキリスト教と相容れないらしいし・・・。
ようわかりません。

人間は,この味気ないけど過酷な毎日から逃れるために,空想に浸りたい瞬間があるのでしょう。
そういう意味ではいずれの題材もお国柄というわけではなくて,ウケやすいテーマというだけなのかもしれませんね。

ぷろぼの

2014.06.10 [ 齋藤 健太郎 ]

むかし「ぼのぼの」という漫画がありましたが,それとは無関係です。

Pro bono publicoというのが語源で,本来は,社会のためにいいことをするという意味のようです。
特に,弁護士が社会的な貢献を無償で行う際に,よく使われますので,弁護士の間ではある程度メジャーな言葉になっていると思いますが,あまり一般的には知られていないかもしれませんね。

アメリカの弁護士ものの小説などを読むと,大事務所がお金儲けをする一方で,プロボノ活動を行っていたりします。
日本でも,弁護士による無償の活動というのは実はたくさん行われています。
たとえば,弁護士会というものが主体となって行われている無料相談などがあります。
出張相談といって,弁護士が高齢者・障害者の方の自宅や精神科病院まで行くということもやっています。
また,委員会活動といって,弁護士が様々な委員会に所属して,無償で人権活動を行っています。

私は,弁護士になってから高齢者・障害者支援委員会というところに所属して,委員会活動に参加してきました。
今は副委員長という役職をもらっていますが,果たして責任を果たせているのかどうか。

委員会活動というのは一般の人が考えるよりもずっと負担があります。最近の活動を振り返ってみても,先週は一日帯広出張があり,虐待対応で高齢者のご自宅に行った日もありましたが,それらは委員会の仕事でした。今日も委員会の会議が昼にありました。

自分でもなぜこのようなことをやっているのかわからなくなるときもあります。
でも,自分が持っているスキルや専門性を生かすことによって,少しでも助かる人がいたり,喜んでくれる人がいるということが単純に嬉しいのだと思います。弁護士の仕事の本質はそういうところにあるのではないでしょうか。

医療事件で和解をしました。

2014.05.27 [ 齋藤 健太郎 ]

先日,医療事件で和解をしました。
依頼を受けてから2年くらいかかりましたので,期間としては通常の解決だったと思います。
この事件では,特殊な手技が問題となっていたのですが,いつもお世話になっている先生から,その手技の専門家を紹介してもらい,詳しくお話を聞くことができました。このような協力医の存在があって,初めて相手と対等に戦うことができます。

今日もとある病院の先生のところにお話を伺いに行ってきました。
お疲れのところ,2時間以上も色々と教えて頂きました。やはり本で調べても書いていないことや,書いてあってもイメージがつかめないことというのは沢山あるものです。

さて,和解に至ったこの事件では,最初,本人も遺族も,誰ひとりとしてその手技によって命が奪われるとは思っていませんでした。ところが,予期せぬ事態が生じ,患者さんの命が奪われてしまいました。
おそらく医師らも,このような結果が生じるとは全く思っていなかったのではないかと思います。

そもそも医療に関わるということ自体が,何かしらのリスクを負っているということがいえます。
薬の投与を受ければ,副作用の問題が生じ得ますし,手術をすれば間違って傷つけられるということもありえます。しかし,一部の医者は,それらをできるだけ隠して説明しようとします。

車社会と同じように,医療社会では,医療に関わる以上,予期せぬ事故に巻き込まれる可能性があるのです。
では,その事故に巻き込まれることを防ぐためには,どうしたらいいでしょうか?
色々調査して信頼できる医師を探すというのは大事なことですが,そのような情報はなかなか外には出てきません。そういう意味では,良い医者に巡り会い,事故から逃れるというのは運任せの要素が強いのではないでしょうか。

自分の命を実は全く信頼できない人間に委ねているかもしれないというのも恐ろしい話です。

ブログが思うように書けないときに思うこと(1)

2014.05.20 [ 齋藤 健太郎 ]

ブログなんてなくなってしまえばいいと思うこともある。

しがない地方の弁護士が集団的自衛権なんてアホなこというなとか,原発とかコントロール不能なんだから早いとこやめちまえとか言ったところで,どれだけの意味があるのか。
「一人でも共感してくれる人間がいればいいんだ」なんて気持ちで書いてみても,実は誰もまともに読んでないかもしれない。

たった一人の言葉は大きな流れを変える力があるのか?
いつの時代も流れには逆らえないのではないか。
このまま戦争に突き進むのか。
原発はまた事故を起こすのか。
徴兵と原発事故から自分の子供を守るためには移住しかないのか。
果たして移住することで守れるのか。

風邪引いてしまって仕事も思うようにできなかったが,待ってる人達がたくさんいる。
目の前のことをまず必死に頑張らないとならない。
弱音吐いても前には進めない。

明日起きたらアホな総理も原発もブログもなくなっているかもしれない。仕事も小人達が片付けているかもしれない。
少なくとも寝ている間は忘れられる。
というわけでまず寝ることにする。

○○○○という名の時限バクダン

2014.05.19 [ 齋藤 健太郎 ]

なにやら物騒な話に聞こえますが,これは札幌市北区で問題となっているあのガスボンベ事件とは全く関係ありません。

この○○○○には何が入るでしょうか?
ここに入るのは,実は「事業承継」です。

事業承継というのは,その名のとおり,事業をどのように引き継いでいくかという話なのですが,実はこれが恐ろしいものです。
なぜ時限爆弾なのかというと,そのまま放っておくとオーナー株主が亡くなったときに突然問題が勃発してしまうからです。

たとえば・・・
*株式の価値が高いが,オーナー株主には預金が多くない・・・多額な相続税が払えない。
*息子に事業を継がせようと思っていたのに,他の子供達にも株式が渡ってしまい,安定経営ができない。
などというのが典型例でしょう。

高い確率で爆発するのに,バクダンのチクタク音が誰にも聞こえていないことがあるというおそろしいものです。

しかし,バクダン処理は早めに時間をかけて行えばそんなに難しくないことが多いといえます(相当困難な案件もありますが)。
大切なのは,税理士・会計士と弁護士が必ずチームになって,十分に対策を練ることです。
事業承継をスムーズにするための法律もいくつもありますし,遺言による手当も有効なことがあります。株式については,生前に贈与するか,遺言により渡すかを早期に検討しておく必要があるでしょう。株式の価値を下げる努力も必要です。

早い時期に手を打たないでいると,知らないうちに,自分で火薬を火薬と知らないでどんどん詰め込んでいるなんてこともありますのでご注意を。


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