2009.09.26 [ 齋藤 健太郎 ]

 私が扱っている医療事件で、最近このようなことがありました。

 10年前の事件で、Aという疾患と診断し、治療されていたところ、お亡くなりになりました。
 私達は、Aという疾患の治療として、問題がある!という構成で訴えを提起し、争っていました。

 しかし、ある専門の医師に相談したところ、AではなくBという疾患ではないかと言われたのです。
 その観点からもう一度記録を精査すると、Bという疾患を基礎づける検査結果が発見されました。
 担当医師は、わざわざBを疑い、検査をし、検査結果が出ているのに、Aであると確定的に診断して治療をしていたのです。

 お医者さんがAと思い込んでいる事案で、それに引きずられてしまったのは否めません。
 また、今まで相談してきた医師に対して、Aという前提で話を聞いていたというのも問題があったのかもしれません。

この訴訟はまだ進行中でこれからというところですが、突然光が刺してきたという状態です。

 医療訴訟では、弁護士が、真実に気がつかずに、ズレた主張をし続けており、結果、勝つべきものが負けているということもあるのが現状ではないかと感じています。医療訴訟をあまり扱っていない弁護士であれば、医師の人脈も少なく、余計にその可能性は高くなると思います。

 私も、根気づよく真実を探るという気持ちを持ち、専門の医師を探し出して積極的に相談するということ、また、主治医の思い込みや、患者(ご遺族)の判断に左右されずに、記録を精査することが重要であると再認識させられました。