2010.02.06 [ 齋藤 健太郎 ]

むち打ち損傷で眼に調節障害が起きるというのは、医学的にも十分な根拠があることのようですが、その補償を受けられている方は少ないと思われます。

調節障害というのは、わかりやすくいうと老眼のように近くが見えなくなるようなことを言います。
事故後に、近くのものが見えにくくなったという方で、特に比較的若い方であれば、一回、調節力をしっかり調査してみることをおすすめします。

もっとも、自賠責では、調節障害についての認定基準がありますが、その基準にあてはまる場合においても、むち打ち損傷による場合、後遺障害として認められることはまずありません。
そのため、多くの方が、実際には事故後に不便を感じるようになったのに、そのまま何の補償も受けられていないというのが現状です。

私が扱っている事案では、何人もの方が、事故後に眼に障害を残していますが、訴訟にしない限り後遺障害として認定されないため、長い時間と労力を強いられています。
1 自賠責の認定基準をみたしていること
2 事故により頸椎捻挫等、調節力障害の原因となる傷害があったこと
3 年齢的に老眼の可能性が低い状態にあること
などの条件をみたす場合には、保険会社もある程度の示談に応ずるべきではないかと思います。

とはいっても、眼に見えない原因があるという場合には、常に詐病の可能性がありますから、保険会社はそう簡単には認めたくないのでしょう。
これからの裁判例の集積が重要であると思います。