2014.03.22 [ 齋藤 健太郎 ]

元エリート裁判官の書いた「絶望の裁判所」という本が我々の業界では話題となっています。
私は全く読んでいないので書評をするつもりはありませんが,官僚的な裁判官制度に対する恨み節と批判ということのようです。
裁判官のシステムには大きな問題があると考えていますし,法曹一元(弁護士が裁判官になったり検察官になったりする。逆もあり)には大賛成です。昔読んだ「裁判官はなぜ誤るか」という本も同趣旨の本で,問題意識は昔から法曹関係者には共有されていると考えています。問題はそうするためにどうしたらいいかということなんだと思います。議論を喚起するのは大切なことですが。

そもそも,この本を読む気になれないのは「絶望の」という表現使い方がスキじゃないからです(笑)。
文学的な表現にしたつもりなのかもしれませんがあんまりセンスを感じませんね。
「瀕死の裁判所」とか「とかならまだいいのかもしれませんが(笑),絶望は状態を示すものではなく,誰かの主観的な感想ですから,あえて使うなら「裁判所」とか実際にあるものすごい堅苦しい場所じゃなくて(そもそも絶望的な場所だし),何かなかったのかな。

そんな本当にどうでもいいことを真剣に考えながらふと思ったのは,そういえば裁判所の法廷って窓がないなあということです。
札幌地裁の法廷しか明確に思い出せませんが,少なくとも私の記憶する限り法廷には窓がありません。

なぜ窓がないのかを私なりに分析してみました。
*被告人が逃亡しにくくしている?・・・そもそも7階とか8階にあるから逃亡無理か。
*外部からの狙撃を防いでいる?証人の狙撃とか・・・やろうと思えば違うところでできるか。
*プライバシーの問題で,外部から見えないようにしている・・・これはありそうだな。でも曇りガラスにすれば・・・。
*裁判所の構造として,実は裁判官席の裏に通路を作る必要があり,結果としてその通路側が建物の端となるため?
もう少し説明すると,裁判官は傍聴人や当事者とは違うところから出入りしていてその姿は法廷以外では基本的に見られない構造になっています。それを維持するために,通路を建物の端(窓側)に作っているのではないかという推論。
*暗い感じが裁判官または裁判所の威厳を高めている?・・・明るくても威厳は保てるのではないか。
*窓から入る音によって証人尋問の際の証言の聴き取りや録音が難しくなる・・・これが一番考えられますね。でも防音ガラスで開けなければいいのでは。

まあ結論としてはようわかりません。
少なくともそのおかげで夏は窓から風が入らないためにとても暑いときがあります。
汗だくで証人尋問ということもありました。
そして何より陽の光が入らないので重苦しい雰囲気となります。そうじゃなくても重苦しい話ばかりなので,次に裁判所を建て替えるときには検討して欲しいですね。

なお,なぜか札幌地裁の法廷は,シーンとしていると天井から「プチ,プチプチッ」って音がなります。
なぜなのか誰か教えて下さい。