2015.01.29 [ 齋藤 健太郎 ]

皆さんは,後遺症は数が多ければ多いほど重いと思いませんか?

たとえば,交通事故によって,首と腰と膝に後遺症が残ったとして,その場合にどういう処理がなされるかを考えてみましょう。

自賠責には1級から14級までの後遺障害の等級がありますが,たとえば,全部が14級の後遺障害の場合には,首と腰と膝の全てを総合して14級にしかなりません。
これが,12級の後遺障害だった場合には,併合により,11級にあがりますが,それ以上にはなりません。
何が言いたいかというと,14級の場合には,首だけ,腰だけ,膝だけの場合と,3つある場合とが全く同じ評価しか受けないということです。また,12級の場合にも,12級が二つの場合と三つの場合とは同じ評価しか受けないということになります。

本当にそうでしょうか?このような評価が実態に合っているでしょうか?
裁判では,実態に応じた判断を求めて主張していくことになりますが,やはり実務的には自賠責における等級が何級なのかということが重視される傾向にあります。

画一的な判断をする方が基準としては明確ですし,安定感はあります。しかし,一度基準を作ってしまうと,実態を無視して軽く処理されてしまう人も出てきてしまいます。それを仕方がないと思うのではなく,個別具体的な事実をしっかり主張し,実際の被害を理解してもらうということが大切であると日々感じています。