2015.10.20 [ 齋藤 健太郎 ]

さて,なんのことでしょうか。

これはアメリカの無人攻撃機に殺害された人のことです。アメリカの軍の内部文書が公開されて,2012年5月から5ヶ月間に無人攻撃機が殺害した人の9割は,目標の人ではない別人だったそうです。

想田さんという映画監督の方が,その記事について,「通り魔殺人鬼と名前を変えた方がいい」とコメントしていて,不謹慎ながら吹き出してしまいました。
1人を殺害するために,9人の関係ない人を殺すというんですから,通り魔による無差別殺人に近いでしょう。

これまでにも,イラク戦争などでの誤爆が度々問題となってきましたが,つい最近も,国境なき医師団が働いているシリアの病院が爆撃されるという痛ましい事件もありました。病院があるということは事前に伝えてあり,空爆が開始された際にも連絡をしたようですが,結局爆撃は止まらなかったとか。
一定の目的を達成するためには,少しぐらいの犠牲はやむを得ないという発想が垣間見えます。

私が前々からはまっている「ウォーキング・デッド」というアメリカドラマもとうとうシーズン6を見始めています。
しかし,シーズン5あたりから,主人公のリックという男が「Mrアメリカ」とでもいうような感じになってきます。

リックは自分の家族,仲間を守るためなら,何でもやる。
仲間もみんな強くなっていく。
ゾンビだけでなく,自分達を危険に晒す可能性のある人は殺すことも厭わない。
襲ってくる可能性のある人間はやられる前にやる。
弱い人間は死んでも仕方ない。

もしかしたら,このドラマのテーマは,アメリカの自己批判にあるのではないかとすら思わされます。
いつ襲ってくるかわからないゾンビという敵を排除するためには,命がけで戦い続けなければならない。ルールや法なんてものは何も役に立たない。その結果,犠牲が出たとしても仕方ない。それが生きるということだ。

そこで思い出すのが,前にもブログで少し触れた「24」(トゥエンティーフォー)です。
これまたテロ防止のためには何でもやる凄腕のCIAエージェントの話です。

いやまてよ。実はアメリカはドラマを通して,国民をマインドコントロールしているのではないか。
やらなきゃやられる!犠牲はやむを得ない!

近いうちに,日本でも
某国からの「反日」抗争に対し,暴力的な同盟国の力を巧みに利用して乗り切ろうとするドラマ
や,
ゾンビにやられそうになる度に,見事な後方支援でゾンビに一切噛まれることなく戦い抜く市民のドラマ
などが流されるかもしれませんね。