2015.12.22 [ 齋藤 健太郎 ]

先日,被疑者の接見に行こうと思っていましたが,忙しくて思うように行くことができませんでした。
結局,行くのが遅くなり,時間もないために,地下鉄→タクシー警察署→タクシー地下鉄という流れで行って帰ってきました。
その時間,1時間ちょっとでした。

実際には,さほど伝えることはなく,あえて会わなければならない用事でもありませんでした。
にもかかわらずわざわざ行かねばならないというのは非常におかしいことです。
実は,警察署に電話をしても,被疑者とは電話を絶対につないでもらえません。そこで仕方なく,行って話をするほかないのです。

よくアメリカのドラマなどでは,被疑者が弁護士に電話をするシーンなどがありますし,取り調べにも弁護士が立ち会うこともあります。しかし,日本では,電話もできませんし,取り調べに立ち会うこともできません。正確には,一部の拘置所等では電話接見が可能ですが,事前に予約をしたり,他の場所にいかねばならず実用的とはいえません。日本の刑事システムは,いかに追い込んで自白を取るかということを考えているとしか思えないものです。

弁護士が接見する場合には,普通の面会とは異なり,警察職員の立ち会いはされませんので,自由に会話ができます。
そうであれば,電話で話すことにも何の問題もないのではないでしょうか。
一方で,すぐに電話で相談できないということが被疑者を追い込むことになりかねませんし,弁護人もわざわざ行かねば簡単なことを伝えられず,弁護にも支障が出ます。

最近は,取り調べの可視化などといって,取り調べ状況が録音されたりすることもあります。
また,徐々に自白が大切だという流れも変わりつつあるように思います。
しかし,私としては,まず第一歩として電話による接見を実現し,そして,その後は弁護人による取り調べの立ち会いを実現すべきだと思います。そのような基本的なことも許さない刑事システムは異常というほかありません。