2016.08.31 [ 小西 政広 ]

交通事故によって体の複数の箇所に後遺障害を負った場合,自動車損害賠償保障法上以下のように扱われます。

後遺障害が2つ以上あるときは,重い方の後遺障害の該当する等級による。しかし,下記に掲げる場合においては等級を次の通り繰り上げる。
①第13級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは,重い方の後遺障害の等級を1級繰上げる。(中略)
②第8級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは,重い方の後遺障害の等級を2級繰上げる。
③第5級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは,重い方の後遺障害の等級を3級繰上げる。

このように扱われていることから,場合によって不公正不適正であると思われる事態が起こります。

例えば12級に該当するような後遺障害が体の様々な部位に多発的に生じた場合でも,11級にしかなりません。

後遺障害の評価は,基本的には労働能力の喪失がどれだけ生じるのか,という観点から評価されるものですが,同じ程度労働能力を失わせると考えられている後遺障害が2つ残った人と5つ残った人とで労働能力に差はないと評価されてしまうということです。

このような不適正な事態は裁判によってのみ是正され得ます。