2017.03.08 [ 小西 政広 ]

日本の裁判は三審制を採用しており,一つの事件で原則として3回裁判を求めることができます。

しかし第二審の内容は,民事訴訟と刑事訴訟とで大きく違います。

民事訴訟では,続審といわれ,控訴をした場合は延長戦のようなイメージで,原則として証拠の提出は制限されません。

他方で。

刑事訴訟では,事後審といわれ,第一審の内容がおかしなものでなかったか,をビデオ判定の様に検証することになっています。

刑事訴訟では,第一審で提出することができなかったやむをえない理由がなければ,第二審で証拠を提出することができません。

これは証拠収集能力に劣る被告人・弁護人サイドにとっては非常に厳しい制約となっています。

刑罰を与える手続は,非常に慎重に行われるべきものですが,このように不可逆的なシステムとなっていることに,実務上非常に違和感を覚えます。