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神村 岡弁護士ブログ

株主総会

2014.11.28 [ 神村 岡 ]

株主総会に弁護士は必要なのか。

基本的に,中小企業の株主総会は知った顔だけで特段問題なく済まされることが多いと思いますし,全株主が同意書面を出せば現実に総会を開催する必要すらありません。したがって,弁護士の出番もありません。

しかし,株主のたとえ一部でも,多数派とは異なる考えを持って敵対的になる場合は,株主総会の様相はがらりと変わります。

例えば,株主総会の株主への招集通知は開催日の14日以上前にしなければならないとされていますが,その期間を守らなかった場合,敵対的な株主から総会決議の取消を請求されかねません。

また,株主総会の進行中に,動議に対する説明などを打ち切って採決に進む場合も,そのタイミングには神経を使う必要があります。さもないと,総会の進め方に問題があったと言われかねません。

ですから,敵対的な株主が存在する場合には,株主総会の招集を決めるときから弁護士に相談しながら進めるのが無難でしょう。


消せるボールペン

2014.11.28 [ 神村 岡 ]

消せるボールペンというものがあります。

日本では,2007年に初めて発売されたそうです。

 

一定の温度になると無色になるインクを使用していて,専用のゴムでこすると書いたものを消すことができます。

 

とても便利である反面,重要な文書に使用すると大変なことになります。

 

例えば,消せるボールペンを使用して金銭の借用書を1通だけ作成し,それを貸し主が保管している場合,後から借り入れ金額が勝手に書き直されて,増額されてしまうということにもなりかねません。

 

もっとも,弁護士が職務上書面を取り交わす場合,パソコンで作成した文書をプリントアウトして使用することが多いので,書き換えられるといったおそれはほとんどありません。

 

仮に重要な書類を手書きで作成する場合には,消せるボールペンで不正が行われないよう,必ず2部作成して割り印を押す,こちらで用意したボールペンで書くといった対応をする必要があるのではないでしょうか。

 

生き物の飼育

2014.11.22 [ 神村 岡 ]

今年,我が家でカブトムシとクワガタを飼いました。

夏に森の傍でバーベキューをしたときに,5匹ほど採集したのです。

ホームセンターに行って飼育セットを2つ買い,カブトムシとクワガタに分けてかごに入れて育てました。

カブトムシやクワガタを飼うのは初めてでしたが,飼育セットを買って,後はちゃんと餌をあげていれば何とかなりました。

しかし,どちらも一般的に短命のようで,9月から1匹ずつ死んでいき,つい先日最後まで残っていたカブトムシも力尽きてしまいました。

実家にいたときには猫を飼っていて,基本的に何年も生きていましたので,それと比較するととても短命で,儚かったです。

我が家では今年の春頃から金魚も飼っていて,こちらは今のところ順調に育っています。

是非長いお付き合いをしたいものです。

相続と保証人

2014.11.20 [ 神村 岡 ]

先日,相続したら故人(被相続人)の保証人としての地位はどのようになるのかという相談を受けました。

そこで,少し整理してみました。

まず,被相続人が現に存在する借金を保証ないし連帯保証していた場合,保証人としての地位は法定相続分で相続されます。
故人が1000万円の債務の保証人になっていて,それを2人の子どもで相続する場合,2分の1の500万円ずつ,保証人としての地位を相続します。

これが原則なので,基本的には保証債務は相続されるということになります。

同じ保証でも,被相続人が親戚の子が会社に就職する際に身元保証人になっていた場合,その身元保証人としての地位は相続されません。ただし,既に会社に対する具体的な債務が発生していた場合には,その金額の限度で保証債務を相続することになります。

他方,アパートに入居する際の保証人になっていた場合,会社の身元保証と同じようなものとも思われますが,この場合の保証人の地位は相続されてしまいます。判例によれば,身元保証のように広範な責任を負うものではないというのが理由のようです。

しかし,アパートの保証人は身元保証と同様に長期間に亘って債務を保証するものですし,場合によってはかなりの高額な債務を負うことになります。身元保証人ほど広範な責任を負わないという理屈が説得力のあるものなのか,疑問はあります。

遠隔地の裁判

2014.11.14 [ 神村 岡 ]

先日、東京地方裁判所に訴訟を提起しました。


裁判は現地で行なわれることになるので、期日の際は東京まで出向かなければなりません。


ただし、遠隔地の訴訟一般に言えることですが,どうしても行かなければならないのは第1回期日と尋問期日(もしあれば)だけです。

その他は、弁論準備手続として電話会議に参加することで、事務所にいながら期日に出席することができます。

和解で解決する場合など、尋問期日がない場合には、現地まで出頭するのは基本的に一度で足りるのです。


しかし,電話会議を行うためには訴訟当事者(代理人)のいずれか一方は出頭しなければならないので,原告と被告の代理人のいずれにとっても裁判所が遠隔地にあるという場合,期日毎に交互に出頭したりする必要があります。


いずれにしても電話会議が便利であることは間違いありませんが,ごく最近まで,電話会議は調停手続では認められていませんでした。調停は相手方の住所地の管轄裁判所に申し立てる必要があるので,相手方が遠隔地にいる場合,調停の期日の度に遠隔地に赴かなければならず,調停を起こす障害になっていました。


それが,平成23年に成立した家事事件手続法により,離婚や相続などの家事調停に関しては電話会議が利用できるようになりました。

また,昨年からは,改正非訟事件手続法により,家事事件以外を対象とする民事調停においても,電話会議が使えるようになりました。


かなり便利になりましたね。

カジノの合法化

2014.11.12 [ 神村 岡 ]

最近,カジノの合法化に向けた動きがあります。

与党がカジノ法案を提出し,今国会での成立は見送られましたが,来年以降も審議されることになると思います。

カジノと言えば,数年前にマカオの巨大なカジノに行ったことがあります。
カジノ目当てで行ったわけではなく,マカオの世界遺産を見て,そのついでにシルクドソレイユのショーを見て,そのついでに同じホテル内にあった巨大なカジノを覗いてみたという次第です。

巨大さに圧倒されたためか,何となく怖くて手を出す気にはなれず,結局カジノでは何もせずじまいでした。
私自身はギャンブルはあまり好きではないようです。

これだけ公営のギャンブルが普及している状況で,ギャンブルは良くないからカジノは合法化すべきでないとは言いませんが,依存を防ぐための措置をとらずに無制限に認めると,カジノにお金をつぎ込んで経済的に破綻する人は間違いなく増えると思います。

仮に合法化するとしても,財産状況に応じてつぎ込める金額を制限するなど,経済的破綻を防ぐための対策とセットにする必要があると思います。

失火の責任

2014.11.08 [ 神村 岡 ]

昨日、すすきので比較的大きな火事がありました。

原因はわかりませんが,狭い道路に面していたためなかなか消防車が入り込めず,鎮火まで相当な時間がかかったようです。


火事と言えば、「失火の責任に関する法律(失火責任法)」という法律があります。

この法律があることで、たとえ不注意で火事を起こして人に損害を与えてしまったとしても、基本的には損害賠償責任を負いません。


延焼した場合,個人では到底賠償しきれない莫大な損害額になることが多く,そのような非現実的な賠償責任を負わせないために作られた法律です。

いざ火事になったときの損害は,各自が自分の家について火災保険に入ることで対処すべきということになるでしょう。


しかし,失火なら全て免責されるわけではありません。


寝たばこなど,重大な過失があるとされる場合には,賠償責任は負わなければなりません。


また,賃貸住宅の入居者が失火を起こした場合,家主との賃貸借契約により,賃借人は家主に対して部屋を元の状態にして返す義務を負っていますので,契約に基づく損害賠償責任を負うことになります。


つまり,失火責任法があるため不法行為責任は負わないが,契約に基づく責任は負うということです。


賃貸物件に入居する際は,必ず火災保険に入るべきですね。


診断協会55周年

2014.11.08 [ 神村 岡 ]

先日,中小企業診断協会北海道の55周年記念交流会があり,新米診断士として参加してきました。当日は,診断協会内にいくつかある研究会の活動報告や事例発表,会員の表彰などの後に交流会という流れでした。


診断士の一人が言っていましたが,診断協会北海道の診断士の人数は、ここ10年で倍近く(約190名)になったそうです。


中小企業診断士の資格は知らない人も多いと思いますが,いざ何か資格を取ろうと思ったときに,結構上位に上がってくる人気のある資格のようです。


診断士はそれぞれ専門分野や強みをもっています。特定の業種に強い人,ITに強い人などさまざまです。また,なかなか個性的な方が多いとも思います。個人で診断士として独立している人もいれば,金融機関など企業内診断士として活躍している人もいます。


さて,私はまだ研究会に所属していなかったのですが,交流会の席で企業再生の研究会に入会することが決まりました。また,知的財産関係の研究会にも顔を出してみようと思います。


診断士仲間と切磋琢磨してやって行けたらと思っています。


危険運転致死傷罪

2014.11.01 [ 神村 岡 ]

先週の金曜日に,銭函のビーチでのひき逃げ事故の刑事裁判で,検察が訴因を過失致死傷罪から危険運転致死傷罪に変更したとのニュースが流れていました。


訴因というのは,ごく簡単に言うと刑事裁判の中で審理される,具体的にどのような犯行をしたのかという事実のことです。
過失致死傷罪から危険運転致死傷罪に訴因が変更されることで,危険運転致死傷罪の成否が審理されることになります。

自動車運転処罰法によると,過失運転致死傷罪(5条)が7年以下の懲役又は100万円以下の罰金であるのに対して,危険運転致死傷罪(2条)は1年以上の懲役です。1年以上ということは,最大で30年まであり得るので,かなりの違いになります。

起こしてしまった結果を考えると,過失運転致死傷罪で7年までしか刑を言い渡せないというのは軽すぎるのかもしれません。

今回の検察の判断を動かしたのは約7万名分もの署名です。

危険運転致死傷罪は成立要件が狭く,その分立証も難しいのですが,検察としては署名を受けてギリギリの判断で訴因を変更したのではないでしょうか。


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