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神村 岡弁護士ブログ

ある日の法廷

2013.11.29 [ 神村 岡 ]

検察官:
「起訴状を朗読します。」
「被告人は,・・・もって特定秘密の保有者の管理を害する行為によって特定秘密を取得しようとしたものである。・・・」

裁判官:
「今検察官が読み上げた事実について,被告人のご意見はいかがですか。」

被告人:
「秘密ってなんのことでしょうか?」
「自分が何の情報を得ようとして起訴されたのか全くわかりません。」
「認否のしようがありません・・・」


 特定秘密保護法案が,先日衆院を通過しました。
 国民の知る権利と真っ向から対立するにもかかわらず,知る権利とバランスととるための配慮が感じられず,疑問を感じずにはいられません。
 同法案には罰則も設けられており,「著しく不公正な方法で」秘密を取得しようとした者も10年以下の懲役という重い罰則の対象になっています。上記のやりとりは,その罰則に基づいて起訴された人の刑事手続の一コマをシミュレーションしてみたものです。
 具体的に同罰則に基づく刑事事件の手続がどのようになるかはわかりませんが,今のところ,裁判官にも被告人にも特定秘密の内容が知らされることは予定されていないようです。これで適正な刑事手続ができるとは到底思えません。

 将来,この法律に基づいて逮捕・起訴された人の弁護を引き受ける機会があれば,徹底的に戦おうと思っています。

ノロウイルス

2013.11.28 [ 神村 岡 ]

やられてしまったようです。

日曜の深夜に突然嘔吐し,月曜日と火曜日は発熱とだるさでひどい状態でした。

原因はおそらく土曜の昼にとった食事です。
一緒に食事をとった妻と妹夫婦もやられてしまいました。
2歳の子供と母親も同席していたのですが,子供は別のものを食べたためか無事,母親は職業柄毎日患者に接していて抗体をもっているためか無事でした。

「これは保健所に調査してもらった方がよいのでは?」
などと思ったりしましたが,どうやら,一週間分の食事の調査と検便に協力する必要があるようで,そこまでやるのは大変なのでやめました。

しかし,月並みですが,やはり健康はすばらしいですね。
体調を崩すと心身ともに参ってしまい,健康のすばらしさを実感します。
ノロウイルスの抗体は比較的短期間でなくなってしまうようなので,これから迎える冬の間も感染予防に努めようと思っています。

改名

2013.11.23 [ 神村 岡 ]

先日,改名(下の名前の変更)について考える機会がありましたので,少し書きたいと思います。

名前の変更はむやみにできるものではありません。
それなりの理由がある場合に,裁判所の許可があって初めて変更できます。

それでは,どのような場合に変更できるのでしょうか。
以下,例を挙げます。


まず,親族等と同姓同名で紛らわしいという場合が挙げられます。

例えば,再婚する女性に男の子がいて,再婚相手の男性と名前が一緒だったとします。そして,どちらが姓を変えるにせよ,男の子と新しい夫は同性同名になってしまいます。この場合,さすがに男の子の名前を変えることはできるでしょう。


次に,姓が変わった結果,フルネームがおかしなものになってしまうというケースです。

例えば,●●加奈子さんが大場さんと結婚して姓を大場に変えた場合・・・


それから,両親からつけてもらった名前がとてもはずかしい名前だった場合。

・・・例は挙げませんが,昨今では少し大きくなったらすごく恥ずかしい思いをするであろう「キラキラネーム」を持つ子供が少なくありません。
この場合も,程度によっては改名が認められるでしょう。


他にも,改名が認められるケースはあります。
もし,名前のことで本当に困っていたら,改名が認められるかもしれませんね。


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ところで,親戚の結婚式のため,今日から東京に来ています。

初めてスカイツリーに上りましたが,下から見上げた姿,展望台から見る景色は圧巻でした。












道徳を教科に?

2013.11.16 [ 神村 岡 ]

文部科学省の有識者会議が小中学校の道徳教育を「教科」にすることを検討しているようです。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1101E_R11C13A1CR0000/

記事によれば、教科とされると、①検定を経た教科書を使い、②数値により成績を評価する、③中学以上では教科の免許をもった教師が教えるということになるそうです。

さすがに、②に関しては、数値ではなく記述による評価にするというのが有識者会議の見解とのことですが、評価することに変わりはありません。

道徳というのは、基本的には心のありようだと思います。それを評価の対象にするというのは、特定の考え方や心のあり方の押しつけにつながってしまうのではないでしょうか。

また、教科書検定についても同様のことが言えます。国家が思想の善し悪しを決めるということになりかねません。これはやはり憲法が規定する思想良心の自由を侵害しかねないと思います。

一方で、なぜ教科化する必要があるのかはよくわかりません。

果たしてこのまま話が進んでいってしまうのか、成り行きを見守っていこうと思っています。

ホームロイヤー

2013.11.09 [ 神村 岡 ]

今日、地域の町内会が主催する講演会で、「地域で身近な弁護士活動を」というテーマで講演をさせていただきました。
主な内容はホームロイヤー契約についてのお話でした。

ホームロイヤーという言葉には明確な定義があるわけではなく、かかりつけ医の弁護士版、日常の困ったことをすぐに相談できる弁護士という程度の意味だと思います。

もっとも、ホームロイヤー契約という言い方をする場合、高齢者向けの、①定期的な見守り、②各種相談、③ライフプランノートの作成を柱とする契約を意味することもあります。

①定期的な見守りというのは、電話や訪問で、月に1度定期的に近況を伺うというものです。これがあると、本人がなかなか言い出せないことを弁護士の方で気づけることもありますし、遺言を預かっている場合には本人が亡くなったのに弁護士が気づかないまま遺産分割が行われてしまうといった事態も防ぐことができます。

②各種相談というのは、法律相談はもちろんのこと日常の些細な困りごとの相談も受けるというもの、③ライフプランノートというのは、本人の現状と、将来的に介護が必要になった場合や判断力が衰えてしまった場合にどのように対処したいかといった将来についての本人の考えをまとめておくものです。

このホームロイヤー契約によって、特に身寄りのない高齢者の場合は将来についての不安をかなり解消できると思います。

ホームロイヤー契約というものが考えられるようになったのは比較的最近のことだと思います。社会や需要の変化に応じて、弁護士活動もいろいろと変わってくるのです。

初雪

2013.11.08 [ 神村 岡 ]

今日、札幌では昼頃から雪が降りましたね。

まだ雨交じりの雪でしたが、昨日までと比べて気温はぐっと低くなり、いよいよ冬が近づいていることを感じます。

車のタイヤも昨日替えました。

私の出身地は山形市です。
山形も雪国なので、小さい頃から雪には親しんできましたが、札幌に来て最初に迎えた冬に、その積雪量に驚きました。

山形、特に山形市内では、札幌と比べて暖かいことと降雪量が少ないことから、積雪量は札幌に比べてかなり少ないのです。車道と歩道の間の雪も、せいぜい腰くらいの高さにしかならなかったように記憶しています。

それに対して、札幌では歩道から車道が見えなくなりますからね。すごいものです。
特に昨年は圧倒されるような積雪でした。

あまり積雪が多いといろいろと大変ですが、今年はどこまで積もるのかと楽しみにしてしまう気持ちもあります。

交通事故の過失割合

2013.11.02 [ 神村 岡 ]

車を運転しているとき、交通事故の過失割合について考えることがあります。

例えば、両側に車が並ぶ駐車場の通路を走っていて、「駐車スペースからいきなり車が出てきてぶつかったら自分にも過失があるということになってしまうんだよな」と思ったり、交差道路に一時停止の標識がある(自分は停止しなくともよい)交差点に差しかかったときに、「交差道路を走ってきた車が一時停止を無視して自分と衝突した場合でも、自分にも少しは過失があるということになってしまうな」と思ったりという具合です。

交通事故の過失割合については事故類型ごとの過失割合をまとめた冊子が存在し(保険会社や法律家は概ねそれに従っています)、事故類型ごとの基本的な過失割合と、このような場合には基本的な過失割合に修正を加えるという修正要素が記載されています。

先の例では、一時停止の標識がある交差点での事故の場合、一時停止標識がある方の基本的な過失は8割ということになっています。そして、一時停止の標識のある方が一時停止をしなかった場合、後から交差点に入ってぶつかった場合などには一時停止の標識のある方の過失が加重されることになります。ただ、なかなか0:100という結論にはなりません。

しかし、基準に従うと過失割合は0:100にならないが、一方はルールを守って運転していて、どうしても事故を避けることができなかったということはありえます。

そのような場合にいかに実態を反映した過失割合で解決するか。そのあたりは弁護士の腕の見せ所のひとつです。


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