2014.01.17 [ 神村 岡 ]

弁護士が扱う相続問題としては,遺言作成や遺産分割の方法をめぐる相続人間のトラブルがケースとしては多いです。

しかし,たまに,相続放棄の手続を代理して行うこともあります。

相続放棄の手続を行うと,最初から相続人ではなかったことになります。
被相続人が多額の債務を負っていて,相続することでその債務を承継してしまうような場合には,それを避けるために相続放棄を選択することになります。
他方,債務が特になく,複数の相続人間で特定の相続人にのみ相続財産を相続させようとするような場合には,相続人間でそのように合意をすればよいので,特に相続放棄の手続を行う必要はありません。

相続放棄の手続は,裁判所に対して書面を提出して行います。
基本的には,相続の開始(被相続人の死亡)を知ってから3か月以内に手続を行う必要があります。
ただ,3か月を過ぎると一切相続放棄ができなくなるかというと,そういうわけではありません。

例えば,死亡は知っていたが,被相続人に債務があったことを知らず,相続放棄をする必要がないと考えて手続をしていなかった場合にも,債務の存在を知ってから3か月以内であれば相続放棄を認めてもらえます。ただ,この場合,債務の存在を当初は知らなかったのだということをしっかり説明する必要があります。

相続開始から3か月以内に手続を行う通常の場合も,戸籍関係を戸籍謄本を入手したり書類を書いたりと面倒なことはありますので,弁護士に依頼することでその手間を省くことはできます。

また,相続開始から3か月を過ぎていたり,相続の開始は知っていたが債務の存在を知らずに3か月が経過してしまったというような,いろいろと事情を説明する必要がある場合には,弁護士がうまく事情を説明することで,より確実に相続放棄が認めてもらえるようにすることができます。

長くなってしまいましたが,相続放棄について一般の方が知っておくべきことは,3か月の期間制限があるということと,3か月の期間を過ぎても相続放棄ができる場合があるということの2点くらいでしょうか。あとは,そのとき考えればよいことかと思います。