2014.04.21 [ 神村 岡 ]

今日の夜のニュースで,自治体がイベントなどへの協賛を断るケースが増えていると耳にしました。

例えば,集団的自衛権の行使や改憲の是非など,政治的に議論があるテーマについて特定の立場を表明するような団体の集会については,政治的中立性を疑われることのないよう,協賛の依頼があっても断るという話です。


協賛を断ったケースについて,「表現の自由を侵害していて憲法違反」だということはできないと思います。なぜなら,協賛するか否かは基本的には自治体が自由に判断するもので,元々住民に協賛を受ける権利が保障されているわけではないからです。

しかし,だからといって,世論が大きく割れているテーマについて協賛を控えるのが自治体のあるべき姿だとは思いません。

住民の表現の自由を保障し,様々な意見を表明することのできる健全な社会にするためには,たとえ世論が大きく割れているテーマであろうと,他のテーマと同様の基準で協賛すべきものには協賛するという姿勢が必要だと思います。

自治体としては,協賛をするか否かについて政治的に中立な基準を設け,それに基づいて協賛の是非を判断すべきだと思います。内容を見て恣意的に判断するべきではないということです。


もし,協賛ではなく市民会館等の自治体の施設の利用を断ったということになると,それが利用する団体の主義主張の内容を理由としたものであれば,表現の自由を侵害していることになります。

住民は市民会館等の自治体の施設を利用する権利をもっていて(どの条例にも規定されていると思います),施設利用上の支障がない限り利用を拒まれることがないはずだからです。

自治体が施設の利用を集会の内容だけを理由に拒むということはさすがにないだろうと思いますが,過去には,反対派による激しい抗議活動が予想されるという理由で市民会館の利用が拒否され,憲法訴訟になったこともあります。