2014.09.20 [ 神村 岡 ]

弁護士会が主催する,中小企業の海外進出支援の研修会に参加してきました。

中小企業の海外進出支援については,ジェトロや経済産業省など様々な機関が情報提供やビジネスマッチング,計画作りの支援などを行っています。情報提供という意味では,ジェトロのホームページなどは非常に充実しています。
そういった状況で,弁護士が中小企業の海外進出に対してどのような支援をすることができるのかというのが一つのテーマでした。

弁護士として支援しがいのある局面は,やはり海外の企業と契約書を取り交わす際の内容のチェックでしょう。ジェトロなどの支援機関の支援は充実しているものの,契約に伴う法的リスクの回避,除去といった面では,やはり弁護士の出番になります。

海外進出と言うと,現地に法人を立ち上げるという大がかりなものを想像してしまいがちですが,海外への製品の輸出なども立派な海外進出と言えます。
今日の研修会では,展示会経由で海外向けに商品を輸出する際の落とし穴についての話もありました。

どういう話かというと,海外の業者向けの製品展示会で,海外の業者に興味を持ってもらって輸出を始めることができたが,間もなく,当該外国の他の業者から,「あなたの会社の商標は既に他の会社が登録していて,このままではまずいので私がなんとかしましょう」というような案内が来て,最終的に商標を登録している会社に結構な金額の解決金を,案内を出してきた業者に相応の報酬を支払うことになるというものです。

もちろん,案内を出してきた業者と商標を登録していた会社はグルです。展示会に来た会社ももしかしたらグルかもしれません。
このようなケースが,海外の業者向けの展示会をきっかけに商品を輸出し始める場合にはよくあるそうなのです。
これに対処するためには,輸出を開始する前に自分で商標を取ってしまうというような対策が必要になってきます。

海外進出は,うまくやれば新たな市場を開拓することのできる魅力的な方法ですが,上の例に限らずリスクはつきものです。
リスクを事前に洗い出しておく作業は欠かせないでしょう。