2014.10.07 [ 神村 岡 ]

クレジットカードやローン提携販売(自動車ローンなど)で何か物を購入した後で,クーリングオフや債務不履行で購入契約が解除されたとします。そのとき,クレジット会社やローン会社に対する支払いはどうなるでしょうか。

この場合,割賦販売法30条の4,35条の3の19により,基本的には,元の購入契約が解除されたことでクレジット契約やローン契約も解除されますので,クレジット会社やローン会社に対する支払いも免れることになります。

ただし,一定の場合には,クレジット会社やローン会社に対する支払いを免れることができません。

少し細かいですが,割賦販売法が対象としているのは,ローン契約による購入の場合は支払いが2か月以上にわたるものだけで,クレジットの場合も2か月以内に一定の支払い日に全額を支払う(通常の一括払い)場合は対象としていません。
また,総支払額が4万円未満の場合にも,上記のようなルールは適用されません。
したがって,このような場合,元の購入契約を解除してもカードの支払いは免れないという事態が生じることもあります。

実際に裁判で争われた事例として,未成年者が勝手に親のクレジットカードを使って豪遊(「飲食」)してしまい,親がカード会社から数百万円の代金の支払いを求められたという事案がありました。

このような場合,店との間の元の契約が未成年者による契約であることを理由に取り消されても,カード会社に対する支払い義務を当然に免れられるわけではなく,支払い義務を免れさせるのが相当といえるような特別な事情がなければなりません。

実際の裁判では,未成年者が豪遊したことでカードの利用額が跳ね上がり(他人による使用を疑わせる事情があった),カード会社が未成年者に本人確認を行い,その未成年者が本人(父親)の生年月日等の情報を適切に答えられなかったにもかかわらず,そのままカード利用を通してしまったといった事情があり,カード会社の落ち度が大きかったということでカード会社から父親に対する請求が棄却されました。

未成年者が一人勝ちした事案ということになりますね。。