2014.11.20 [ 神村 岡 ]

先日,相続したら故人(被相続人)の保証人としての地位はどのようになるのかという相談を受けました。

そこで,少し整理してみました。

まず,被相続人が現に存在する借金を保証ないし連帯保証していた場合,保証人としての地位は法定相続分で相続されます。
故人が1000万円の債務の保証人になっていて,それを2人の子どもで相続する場合,2分の1の500万円ずつ,保証人としての地位を相続します。

これが原則なので,基本的には保証債務は相続されるということになります。

同じ保証でも,被相続人が親戚の子が会社に就職する際に身元保証人になっていた場合,その身元保証人としての地位は相続されません。ただし,既に会社に対する具体的な債務が発生していた場合には,その金額の限度で保証債務を相続することになります。

他方,アパートに入居する際の保証人になっていた場合,会社の身元保証と同じようなものとも思われますが,この場合の保証人の地位は相続されてしまいます。判例によれば,身元保証のように広範な責任を負うものではないというのが理由のようです。

しかし,アパートの保証人は身元保証と同様に長期間に亘って債務を保証するものですし,場合によってはかなりの高額な債務を負うことになります。身元保証人ほど広範な責任を負わないという理屈が説得力のあるものなのか,疑問はあります。