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神村 岡弁護士ブログ

枕営業と不貞行為

2015.05.30 [ 神村 岡 ]

先日,枕営業をしたクラブのママに対する,男性の妻からの損害賠償請求が棄却された判決があったというニュースが流れていました。

なかなか衝撃的な判決で,だからこそニュースになったのでしょう。

不貞行為は離婚原因にもなっていて,不貞行為があれば基本的には離婚が認められ,離婚が認められる場合には不貞相手に対する慰謝料請求も認められます。

それでは不貞行為とは何なのでしょうか。

冒頭の判決は,枕営業を売春と同視し,「何ら結婚生活の平穏を害するものではな」いとして,妻からの損害賠償請求を棄却しました。

しかし,判例では,不貞行為の意義について,「配偶者ある者が,自由な意思にもとづいて,配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」をいうと判断されています。

この基準によれば,売春であろうとホステスとの性交渉であろうと,やはり不貞行為に該当することになります。

もっとも,民法上,不貞行為等の離婚事由があっても,「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるとき」には,夫婦の一方からの離婚請求は認められないこととなっています。

ですから,ホステスと性的関係を持っても,回数などの事情を考慮すれば離婚までは認められないという結論はあり得ます。

しかし,慰謝料についてはどうでしょうか。
配偶者が自分以外の異性と性的関係をもった場合に,そのことについての慰謝料が認められないというのは少し常識的な感覚から離れているような気がします。

まして,冒頭の判決の事案では優良顧客とクラブのママとの性的関係であって,継続的に関係をもっているのです。

判決の内容からすると,商売が絡んだら一切慰謝料を認めないという基準で裁判官が考えているように思えます。それは少し行き過ぎでしょう。

ストレスチェック

2015.05.23 [ 神村 岡 ]

今年の12月から,従業員にストレスチェックを受けさせることが事業者の義務になります。

当面は,従業員50名以下の事業者に関しては努力義務とのことですが,このような制度が設けられた背景には,様々な要因で心の病を抱えてしまう労働者が多いということがあるでしょう。

ストレスチェックは,ストレスの度合いを判断しうるような調査表を用いて行われ,主に産業医が担当することが想定されているようです。また,実施義務を年に1回とすることが予定されているようですから,健康診断と合わせて行われることになるでしょうか。

調査表には,標準的な調査表として国が推奨するものがあります(職業性ストレス簡易調査表)。

従業員が記入した調査表は事業者は見ることはなく,ストレスチェックの実施者に提出され,その結果によっては,医師による面談が必要と判断されることになります。その場合,従業員から医師との面談の申し出があれば,事業者は面談を受けさせなければなりません。

ストレスチェックが上手く機能すれば,従業員が心の病を抱えるのを未然に防ぐことができるほか,事業所の労働環境についても必要に応じて見直すきっかけとなるでしょう。

事業承継と遺留分

2015.05.16 [ 神村 岡 ]

今日,診断協会の実践的企業再生研究会で,事業承継と遺留分,相続税をテーマに発表をさせていただきました。

テーマは企業再生からは外れていますが,そこは気にしないでください。

事業承継にもいろいろありますが,後継者に経営権を承継させるのに相続を伴う場合,どうしても遺留分の問題が発生してきます。

遺留分とは,生前贈与や遺言によっても奪うことのできない相続人の最低限の権利です。子どもや配偶者が相続人にいる場合,遺留分は法定相続分の2分の1です。

先代経営者が後継者となる長男に対して,生前贈与と遺言によって一定割合以上の財産を長男に渡した場合,他の相続人は遺留分を侵害されたことになり,その侵害された分を支払うように長男に請求することができます。

ですから,家族の仲が良ければよいのですが,そうでもない場合,先代経営者が後継者となる長男に会社株式等や個人名義の会社資産の全ての会社財産を渡したいと考えたとしても,うまくはいかないケースも出てくるのです。

後継者が会社株式や事業用資産を十分に相続できないという事態を避けるためにとり得る方法はいろいろとあります。いずれにしても事前に対策を講じておくことが大切です。

モエレ沼公園

2015.05.09 [ 神村 岡 ]

札幌市東区に,イサム・ノグチという建築家が設計したモエレ沼公園というかなり大きな公園があります。

広大な敷地内にいろいろな見所があり,休日を過ごすにはいいところです。

これまで何度か訪れたことがありましたが,連休中にまた行ってきました。

公園の目玉の一つが「海の噴水」という噴水です。
ただ水が上がるだけの噴水ではなく,荒れた海の波の様子を水の動きで再現するという少し変わった噴水です。高さも最大で25メートルになりますので,かなり見応えはあります。

常時水が噴き出しているわけではなく,決められた時間になるとプログラムにしたがって水が噴き出してきます。

先日は風の強い日で,そのためかわかりませんが,プログラムが始まる前に,風下で見ていると水がかかることがあるので注意してくださいというようなアナウンスが流れていました。

水しぶきが飛んでくるくらいのイメージで受け止めていたのですが,いざプログラムが始まって水が高く噴き上がると,風が強く吹いた瞬間,噴き上がった水が襲いかかるように風下の噴水の外に落ちていきました。当然,風下側で見ていた人たちは揃って慌てて逃げていきました。

ずぶ濡れになってしまった人には申し訳ないですが,なかなか面白い光景でした。

なお,アナウンスはありましたから,水がかかって電子機器が壊れたとしても,札幌市に弁償を求めることは難しいでしょう。

診断士登録1年

2015.05.02 [ 神村 岡 ]

昨年4月に中小企業診断士に登録し,翌月には中小企業診断士の集まりである中小企業診断協会北海道に入会しましたので,今でちょうど1年ほどになります。

そのような時期ですが,先日診断協会の新入会員歓迎会が開かれ,新入会員として出席してきました。

1年たった時点で新入会員として歓迎していただくというのも変な話ですが,診断協会への入会が5月だったため,昨年4月に開催された歓迎会には間に合わなかったのです。

歓迎会に出席するに当たり,診断士と弁護士と両方の知識,経験を活かせる分野は何かということを改めて考えてみました。

分かり易いところでいえば,中小企業の事業再生の分野,事業承継の分野が挙げられると思います。

事業再生については,傾きかけた企業の中味を改善するのは診断士の仕事ですが,特定調停や民事再生などの活用が必要になれば,弁護士の出番になります。

事業承継については,いかに後継者を育てて代表者交替を成功させるかということを考えるのは診断士の仕事ですが,遺留分などの問題をクリアしていかに円滑に手続を進めるかということを考えるのは弁護士の仕事です。

診断士に関してはまだまだ認知度が低いのが現状ですが,診断協会を挙げて,よりよいサービスを提供できるように日々研鑽を積んでいます。

私も,そんな診断士の先輩方に混じって勉強を続けていくつもりです。

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