2016.01.23 [ 神村 岡 ]

昨年2月に札幌かに本家で看板が落下し,通行人の女性が重体となった事件で,先日,道警の中央警察署が事件を業務上過失致傷の容疑で書類送検したというニュースが流れていました。書類送検の際には,「厳重処分」という意見が付けられていたそうです。

事件から実に1年近くが経過しており,警察はこれまで捜査・検討を続けていたのでしょう。

書類送検とは,文字通り刑事事件に関する書類一式を警察が検察庁に送ることを意味し,その後は検察庁による捜査・検討の後,起訴するのかどうかという判断が下されることになります。

今回の事件で,店側は民事上の責任は認めているものの,今回書類送検された刑事事件については容疑を否認しています。

民事事件では,看板を設置していてその看板に問題があった以上,店側が責任を免れることはほぼ不可能です。

これに対して,刑事事件となると,具体的に過失があったのか否かという点が深く審理されることになり,具体的な事情によっては過失はなかったという判断も十分にありえます。

かに本家の事件の場合,業者に定期的に点検を依頼していたようですから,基本的な義務は果たしているようにも思えます。
他方で,看板落下の直前に金属の部品が落ちているという通報があったという事情があり,それに対して特段何も措置を講じていなかったという点が,警察が「厳重処分」として書類送検を決めた根拠なのかもしれません。