2016.04.02 [ 神村 岡 ]

フィリピンで買春と撮影を繰り返した元校長先生は,3000万円の退職金を返還しなければいけないそうです。

横浜市の条例によれば,在職中に懲戒免職相当の行為をした場合,退職金の返納命令を出すことができるとのことですので,条例にしたがった処分ということができます。

しかし,退職金は給与の後払い的な性格をもつことが多く,退職金は老後の生活の土台にもなるものです。やってはいけないことをしたとしても,それが全て不支給扱いになる又は返還を命じられるというのは,少しバランスを欠くような気もします。

一般に,民間企業であれば,就業規則に退職金の減額又は不支給の規定があったとしても,その規定にしたがった不支給等の処分が常に有効になるわけではなく,その退職金が給与の後払い的性格をもつ場合には,退職金を減額ないし不支給とするだけの十分な理由がなければならないと解されています。

相当かどうかの判断はなかなか難しいですが,懲戒免職が相当だとしても,退職金の全額不支給は不当という場合もあり得るのです。

3000万円の返納を命じた処分はどうでしょうか。

教員に対する信頼を失墜させたという評価は可能かもしれませんが,仕事自体はしっかりまじめにこなしていたとしたらどうでしょうか。

やったことはとんでもないことですが,執行猶予とはいえ懲役刑の判決を受けていますので,悪いことをした罰は刑事罰で十分に受けているとも考えられます。

教育委員会との関係で重ねて何らかの不利益を受けるのも仕方ないとは思いますが,3000万円です・・・。
金額からして給与の後払い的性格もあるように思われますし,評価の分かれうるところではないでしょうか。