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成年後見業務における身上監護の研修

2014.07.19 [ 齋藤 健太郎 ]

先日,私が幹事を務める「札幌弁護士会遺言・相続研究会」の研修がありました。
この研究会では,定期的に遺言や相続について研修を開催しています。

研修では,成年後見業務における身上監護のポイントについて,成年後見業務を多数経験されている社会福祉士の先生にご講演頂きました。

能力が衰えてしまい,財産管理などができなくなった場合には,親族などが申立をして,成年後見人という人がつくという制度があります。その場合,成年後見人は財産を管理していればそれで良いというものではありません。本人のより良い生活や環境を整えるためにどうすれば良いのかを考えていくのもまた成年後見人の仕事です。
それを身上監護という言葉で表現しています。

しかし,これがなかなか難しい。
弁護士は法律のプロですが,介護,医療などの福祉分野については全ての弁護士が詳しいわけではありません。
また,福祉関係者とのネットワークを十分に有しているわけでもありません。

そこでこのような研修をして,介護・福祉なども十分に理解していくことがとても大切なのです。
私も現在成年後見人として業務を行っている事案が複数ありますが,少しでもその事案に生かしていければと思います。

父子関係とDNA鑑定②

2014.07.18 [ 神村 岡 ]

昨日,最高裁が,民法上の父子関係の推定をDNA鑑定で覆すことはできないという判決を出しました。

4月のブログで書いたように,DNA鑑定の結果を重視して親子関係を覆した高裁判決が取り消されるのではないかと予想されていましたが,やはり取り消されました。

今回裁判所が判断したのは3件で,1件は法律上の父親(夫)が父子関係の取消を求めた訴訟,他の2件は母親が元夫と子との父子関係が存在しないことの確認を求めた訴訟です。

最高裁が民法上の父子関係を覆すことを認めなかった理由は,子の身分についての法的安定性を重視し,いつまでも父子関係が覆る状態が続くのを防ぐという点にあります。

民法772条は,婚姻中に妻が妊娠した子は夫の子と推定すると定めていて,生物的な父親が誰かということにかかわらず,基本的にはまず夫が父親だと推定されます。
夫は,嫡出否認の訴えを起こすことでその推定の効力を争い,自分は父親ではないと主張することはできるのですが,その訴えを起こせるのは出生後1年以内と制限されています。
他方,母親や子も,子と父の親子関係が関係しないことの確認を求める訴訟を起こすことができ,これには特に期間制限はありません。

親子関係の不存在確認が認められ,父子関係の推定が覆るのは,妊娠期間中に妻と夫が完全に別居していて接触がなかったといった事情がある場合です。

民法の父子関係の推定規定は古く,法律が制定された当時はDNA鑑定などは一切想定されていませんでした。
最高裁は,DNA鑑定で推定を覆すことを否定しましたが,5人中2人は反対するなど悩みを見せており,法律を改正する必要性にも触れています。
つまり,今の民法の規定の解釈だけで妥当な解決を図っていくには限界があるので,技術の進歩などを踏まえて法律の方を変えていくべきではないかということです。

今後,父子関係についての民法の規定を改正する動きが出てくるかもしれません。






スーパー○○○富永愛

2014.07.15 [ 齋藤 健太郎 ]

富永愛さんに会いました。

しかし,スーパーモデルではなくて,同姓同名の弁護士であり現役のドクターです。
スーパー弁護士というところでしょうか。

富永愛先生は,一度弁護士になった後,医大に入学し,その後,弁護士に復帰した異例の経歴の方です。
乳腺外科の現役の医師としてご活躍されながら,弁護士業務もされております。

私の所属する札幌医療事故問題研究会でお招きして,ご講演頂きました。

今日学んだことは,現在では,乳がんの手術時ないし手術後に乳房の再建手術を行うことが可能となっているということでしょう。
今までは,乳房を出来るだけ温存することを重視してきたようですが,むしろ全部切除してから再建する方がキレイになるということがあるようです。体の他の場所から組織を持ってきたり,脂肪を入れたり,シリコンを入れたりするようです。シリコンによる再建は,一部,保険が使えるようになったとのことでした。

事件として扱う場合には色々と勉強するのは当然ですが,日頃から広く色々な医療の話に触れるのはとても重要だなと再認識した日でした。

おもてなし

2014.07.12 [ 神村 岡 ]

先週に引き続き,ローエイシアの国際会議の話です。

今回のローエイシアの会議は札幌で開催されましたので,私を含め札幌弁護士会の国際室のメンバーが準備や運営の一部を担いました。

私が主に関わったのは,2日目にサッポロビール園で開かれたディナーパーティーの準備と運営です。

国際会議のパーティー特有の問題として大きかったのは,ベジタリアンやムスリムが一定数いるためメニューに配慮しなければならないという点でした。

そもそも会場にサッポロビール園を選んだこともあり,基本的にはジンギスカン鍋を囲んで肉や野菜を焼いてもらうことになりますが,ベジタリアンには肉を焼いた鍋で食べてもらうわけにもいかないため,ベジタリアン用の席を用意し,メニューの選択肢を増やしました。
また,ムスリムの中にはラマダン中の人もおり,同じテーブルで酒が提供されているとアウトなので,ラマダン用の席も設けたりしました。

会議への国内外からの参加者は合計で150名ほどに及んだため,120名が入るビール園の個室で収まりきらなくなるというハプニングもありましたが,外国からの参加者には優先的に個室を使ってもらうなどした結果,個室の外は外で自由にやるということで上手く収まりました。

その他,会議が開催されていた会場からディナーパーティー会場への往復のバス・タクシーの手配,会場への参加者の誘導などの細々とした準備も行いました。

国際会議のディナーパーティーは,ホテルでコース料理が出てくるという形式が多く,サッポロビール園でジンギスカンという選択はかなり冒険でしたが,ワイルドな感じのパーティーもまたよしということで概ね満足していただけたようです。

ディナーバーティーの他にも,会議の会場設営,参加者の受付,通訳の手配,同時通訳機の配布,休憩時に提供するお菓子やお茶の用意,オプショナルツアーの企画・運営など様々な仕事があり,国際室のメンバーが手分けして担当しました。

そのような努力の甲斐があったのか,そもそも札幌という都市に好印象を持っていただいたからなのかはわかりませんが,今回の会議の運営は概ね好評で,会議終了後に様々な方からお褒めの言葉をいただきました。

日本流のいわゆる「おもてなし」を多少なりとも実践できたように思います。


スポーツはスポーツ

2014.07.10 [ 小西 政広 ]

ネイマールの背骨を骨折させた選手の家族に対して危害を加えるといった表明までネット上でされているようです。


これはかなり悪質だと思います。

確かに,映像を見ると,危害を加えようとしてること自体は意図していたような接触でした。

しかし,本人にとっても結果が重すぎたんでしょうね。

だから許されるというわけではない。

十分批判はされるべきですし,サッカー選手としては厳しく罰を受けるべきであると考えますが,第三者から,本人を殺すとか,家族に危害を加えるとか,ちょっと異常じゃないでしょうか。

そろそろネイマール本人からの声明が出てくることを期待します。

日記。

2014.07.09 [ 小西 政広 ]

カルボナーラって結構手軽に作れるパスタだということを知りました。

そして美味しい!

先生が指導してくれていたからかも知れませんが。

今日は,星澤雅也先生のパスタ教室に行ってきたわけで。






ブログが思うように書けないときに思うこと(2)

2014.07.08 [ 齋藤 健太郎 ]

まさか本当にあると思った方は少ないでしょう。
このシリーズは,(1)と書いたことから,(2)があると期待しつつ,どうせ(1)で終わるのだろうと思っていたに違いありません。
しかし,奇跡的にシリーズ化に成功しました。

私のブログは,一体誰が読んでいるのでしょうか。
今日はそれを考えてみたいと思います。

1 依頼者の方
 なかには齋藤健太郎が大好きというファンの方もいらっしゃるかもしれません。そのような方が他の二人のブログは読まずに私のブログだけを読んでいる可能性があります。
2 友人
 私の数少ない友人には,とても暇な人がいます。そのような暇な友人が,やることがなくて「齋藤のブログでもみるか・・・」と私のブログを読んでいる可能性があります。
3 ライバル
 私のような優れた弁護士になると,自然と敵が多くなるものです。「己を知り敵を知らば・・・」ということで,私を研究するためにブログを読んでいる方も相当の数いらっしゃるのではないでしょうか。
4 相談しようと思っている方
 私に相談を予定しているが,どういう人間かわからなくて不安・・・という方もいらっしゃることでしょう。そんなときにこのくだらないブログをみて,予想外の敷居の低さに安心されるということも考えられます。
5 フェイスブックの読者など
 このブログは「いいね!」を押すことでフェイスブックに投稿されます。間違って「いいね!」を押した方のお友達などが,間違って読んでしまうこともあるかもしれません。

さて,午前2時30分を回ったのでそろそろ寝ることとします。

原発と戦争

2014.07.08 [ 齋藤 健太郎 ]

原発と戦争には共通点があるといつも思う。

原発も戦争も経済と深いつながりがある。

原発も戦争もそれで儲かる人間がいる。

原発も戦争も命が失われる。

そして,原発も戦争も始めた人は責任を負わない。

経済が駄目になる?
別にいいじゃないか。
なんで住む場所と健康を危険にさらしてまで電気を得なければならないのか。
本気で言っているとは思えなかったが,かつて多くの戦争(全て?)が利権のために行われたことを考えて,実はこの人達は本気なんだと気づく。
金のために命と子供の将来を犠牲にすることは誤りなのだということを言い続けても,この人達には届かない。
ピュアな人は戦争が自分達を守るために必要だと本気で信じている。
世の中には自分の子供が被爆したり戦争で死んで初めてその悲しみの深さと誤りに気がつく人がいるんだから仕方ない。
目の前で原発がメルトダウンして,放射性物質をまき散らしても,まだ安全に出来ると言う人達には何を言っても通じないのかもしれない。

集団的自衛権

2014.07.06 [ 神村 岡 ]

先日,閣議決定による憲法9条の解釈変更によって,集団的自衛権が行使可能とされました。

内閣に憲法の解釈権があるわけではないので,閣議決定に何か法的な効力があるわけではありません。

したがって,先日の閣議決定は,政府としての意思表示に過ぎないということになりますが,実際にこれから集団的自衛権を行使する可能性が出てきた以上,当然ですが実際には大きな意味をもちます。

今後,集団的自衛権の行使に関わる法案が成立し,実際に集団的自衛権が行使されると,集団的自衛権の合憲性を争う訴訟が提起され,司法の判断が示されることになるでしょう。

なお,日本において司法の判断の対象になるのは,具体的に国民の憲法上の権利が侵害された場合であって,具体的な国民の権利侵害を離れて,法律が合憲なのかどうかということを直接裁判所で争うことはできないことになっています。

そのため,集団的自衛権の行使についての法律が成立したとしても,実際にその法律に基づいた具体的な動きが出てくる段階にならないと,集団的自衛権の合憲性についての司法の判断が示されることはありません。

個別的自衛権と異なり,集団的自衛権の行使には,どの国への攻撃について自衛権を行使するのか,自衛権行使の対象とする国について,他国に出兵することもあり得る中でどの範囲を「自衛」とするのかなど,いろいろと判断しなければならないことがあり,その分判断者の恣意が働く余地があります。

集団的自衛権の行使の仕方によっては,簡単に戦争の当事国になってしまいかねないと思います。

医療事故の和解と口外禁止条項

2014.07.06 [ 齋藤 健太郎 ]

Aさんは,医療事故で大きな被害を受けました。
その後,齋藤健太郎弁護士に相談したところ,「医師に責任がある可能性があります。調査してみてはどうでしょうか」といわれました。そこで,弁護士に依頼し,まずは,証拠保全手続によって,記録を入手しました。

その記録をもとに,齋藤健太郎弁護士は,いろいろな医者に話を聞いたところ,「これは医師に責任がありますね」「通常はこのような治療はしません」「後遺症は残らなかった可能性が高いといえます」などという回答を得ました。慎重な検討を繰り返した結果,医療機関に対して責任を追及する内容証明を作成し,送付することにしました。

しかし,それに対して医療機関は,自分達の責任がないとの回答をしてきました。
Aさんは,大きなショックを受けました。
Aさんが何より欲しかったのは,後遺症の原因が自分ではなく,医療行為にあること,そして医師に責任があることを医療機関が認めて謝罪をしてくれることでした。当然,補償という意味でのお金も必要ですが,前を向いて生きていくためにも,何が起きたのかを知りたいという気持ちがとても強くありました。
ところが,医療機関は,いとも簡単に責任がないとの回答をしてきたのです。その回答には,十分な説明はなく,訴えるなら訴えればいいとでもいわんばかりの内容でした。

そこで,Aさんは悩みながらも訴えを起こしました。
齋藤健太郎弁護士は,相手の医師の詭弁を追及し,たくさんの文献を出し,こちらの見解を示す医師の意見書を提出しました。
証人尋問でも,相手の医師を追い込んで,こちらの専門家の証言もしっかり裁判の場に出すことができました。

裁判の流れからは,Aさんの言っていることが正しいということが裁判官にも理解してもらえている感触がありました。

そこで,裁判所から和解による解決が打診されました。
Aさんは,すでに事故から2年が経過していることから,少し疲れていました。
また,裁判所の和解案が医療機関の責任を一定程度認めるものであれば,応じても良いのではないかという気持ちもありましたので,和解の話を進めることにしました。

裁判所からは,6000万円の和解案が出されました。
Aさんの失ったものを取り戻すには少なすぎましたが,Aさんとしては前向きな気持ちになれるのではないかと思えました。
しかし,Aさんとしては,一番欲しかった責任を認めて謝罪をしてもらうということが和解案にはありませんでした。そこで,齋藤健太郎弁護士にお願いして提案をしましたが,医療機関はそれには応じないといいます。
しかも,医療機関からは,本件に関することについて,「第三者に口外しない」という条項を入れない限り,和解しないといわれました。

Aさんは思いました。
これからも同じような人を出さないために,医療機関としてはこのことを公表すべきではないのか?
なぜこのようなことを起こしてしまったのかを検討し,再発を防止するためにも,公表して,他の医師などの意見を広く聞くべきではないのか?
でも,医療機関の考えることもわからないではありません。事故を起こした病院には誰も行きたくありませんし,それによって病院の評判が落ちてしまえば,やはりダメージになるということもわかります。

そこで,Aさんとしてはやむなく口外禁止条項を入れた和解をすることにしました。

さて,このAさんの事件はフィクションではありますが,医療事件における典型的な解決の流れといえます。
しかし,あくまでこの解決は妥協の産物でしかありません。
Aさんの願いや想いというものが本当に実現できたのでしょうか?
口外禁止条項を入れることが本当に正しいのでしょうか?

私としては,より良い医療というものに少しでも繋がることを考えて医療事件をやっているところがありますが,口外禁止条項が入ってしまうとそのことが公表されず,なかったことになってしまいます。
黙っててくれれば金を払うというやり方にはどうしても疑問を感じてしまいます。
無理は承知でいいますが,むしろ積極的に公表していくぐらいの対応をしてもらいたいと思います。

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