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IPBA年次大会に参加してきます

2016.04.09 [ 神村 岡 ]

私も小西弁護士と同様,マレーシアのクアラルンプールで開催されるIPBAの年次大会に参加してきます。
私にとってはIPBAの年次大会は初参加になります。

年次大会では,私は主に国際仲裁についての最先端の議論を聞いてきたいと考えています。
クアラルンプールにある国際仲裁機関を見学する機会もあります。

また,アジアを中心とした各国の弁護士と知り合うことも目的のひとつです。
いざというときに他国の弁護士とのパイプがあるのとないのとでは全く違うからです。

札幌で開催された国際会議には参加したことがありますが,国際会議には独特の活気があります。
それを是非味わってきたいと思います。

来週1週間は事務所を不在にします。

それだけの成果を得てきたいと思います。

条件反射制御法

2016.04.06 [ 小西 政広 ]

最近覚せい剤取締法違反で捕まった有名人が取り入れているという話の

条件反射制御法

ですが,平成24年に

当事務所弁護士齋藤と共に,東京で第一回薬物自己使用等事犯者弁護研修会

に参加して,

条件反射制御法研究会会長の平井愼二先生の講義を受け,修了証書を頂いていたのでした。

第6号です。

条件反射制御法というのは,

薬物依存症者に,自分で疑似注射を腕にあてさせ,薬物を摂取したような行動をとらせながらも,結果として薬物を摂取した気分にはなれない,という

「失敗」

を繰り返させることで,その行為から快感が得られないという思考(あるいは習慣)に至らせて,薬物依存症から抜け出すというものです。

3年以上前の研修でしたが,最近話題なので紹介でした。

死者のプライバシー?

2016.04.04 [ 齋藤 健太郎 ]

以下のようなニュースを目にしました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160404-00000004-mai-soci
「東京都中野区の路上で倒れているのが見つかりながら救護されず死亡した認知症の男性(当時83歳)の遺族が、男性を救急搬送しなかった東京消防庁に救急記録の写しの提供を求めたところ、「死者のプライバシー」を理由に拒否されている」そうです。4月1日からは閲覧は認められることになりそうですが,交付はダメとのこと。
そして,他の20政令都市のうち19都市は写しの交付を認めていることについて,東京消防庁の担当者は「他の自治体がいかように扱おうとも死者のプライバシーは守るものだという認識がある。提供した紙が第三者に渡れば死者のプライバシーを傷つけることが想定される」と説明したようです。

?????

これまで私が扱ってきた医療事件では,患者の遺族は,札幌市から救急搬送の記録の写しの交付を受けており,特に問題となったことはありません。
医療機関からの診療録の開示も,遺族であれば問題なく認められており,それは市立病院などでも同様の扱いになっています。
医療記録という極めてプライバシー性の高い情報でも開示が認められているのに,救急記録について開示が認められないというのはどういうことなのでしょうか。「死者のプライバシー」というのが,遺族の情報を得る権利よりも優先されるという法理はどこから来たのでしょうか。

しかも閲覧が良いならプライバシーはそもそも守られていないのではないでしょうか。
写しが第三者に渡るということが問題との理屈のようですが,情報というのは紙媒体だけではありません。閲覧した情報を遺族が流せばそれだけで十分です。
写真の場合や書類の性質によっては,コピーがインパクトを持つこともありますが,救急搬送記録についてはそこまで生々しい記録とは思いません。医療記録の方がよほど生々しいです。

いずれにせよ謎の対応です。
あまりに前時代的。

心臓に針が!

2016.04.04 [ 齋藤 健太郎 ]

面白いというか,本人にとっては地獄のような事件があります。
平成26年4月24日のさいたま地裁判決です。

心室中隔欠損症という病気の手術をしたところ,心臓に手術時に用いた針(1cm)が残っていることが判明しました。
その後,再度手術をしたものの,出血がすごくて取り出すことができずにそのまま閉胸・・・。
右心房にあった針は,その後,ゆっくりと下大静脈へと移動し(逆の流れなんですがね),さらに肝臓の静脈にまで移動し,そこで止まったとのことです。
最終的には肝臓を切除しないと取れない状況になりました。

被害者の方は,いつ針が悪影響を与えるのかわからないという死の恐怖に脅えて暮らさなければならず,精神的にも参ってしまい(二度の自殺未遂),就職もままならず,勤めたものの解雇を恐れて暮らしているということです。

それに対して被告は,
・感染はほとんど考えられないので大丈夫。
・動いたとしても少しずつだからすぐに出血したりしないので大丈夫。
・外からの力が加えられても針だけ動くことはなく全体として動くから大丈夫。
などという理由から
「原告の現状は生命の危険性のないものであって、原告が死の恐怖を払しょくすることができないとしても、それは担当医師の医学的な根拠に基づく説明を全く無視した原告の主観的な受け止め方であり、医学的な根拠を欠くものである。医学上本件針の遺残による原告の身体への影響は全く存在しない。」
と言ってのけました。
そして主張した慰謝料額は20万円です。

まあ百歩譲って,身体への影響の可能性は低いとしても,その恐怖を「医学的な根拠に基づく説明を全く無視した原告の主観的な受け止め方」とするのはあまりに傲慢ではないでしょうか。
単純な話,これが自分だったとして,「医学的には大丈夫!安心!」と考えて,気にしないで生きていけるのか・・・気になって精神的に参ってしまったとしても全くおかしい話ではありませんよね。

判決は以下の理由から700万円の賠償を認めました。
・通常一般人の感覚からして、自己の肝臓に針が遺残され存在し続けていることの恐怖感は大きい(先例もないので影響が予測できない)
・肝臓の約4割を切除しないと本件針が摘出できない
・現実に原告の就労の機会が脅かされた
・本件手術終了後に後に速やかに本来不必要な手術を受けることとなった

おそらく精神的慰謝料の相場としては,身体的被害が実際に生じていない例としてはかなり高額であると思います。
通常の人が感じる当然のことを慰謝料額として反映した妥当な判断なのではないでしょうか。

退職金不支給

2016.04.02 [ 神村 岡 ]

フィリピンで買春と撮影を繰り返した元校長先生は,3000万円の退職金を返還しなければいけないそうです。

横浜市の条例によれば,在職中に懲戒免職相当の行為をした場合,退職金の返納命令を出すことができるとのことですので,条例にしたがった処分ということができます。

しかし,退職金は給与の後払い的な性格をもつことが多く,退職金は老後の生活の土台にもなるものです。やってはいけないことをしたとしても,それが全て不支給扱いになる又は返還を命じられるというのは,少しバランスを欠くような気もします。

一般に,民間企業であれば,就業規則に退職金の減額又は不支給の規定があったとしても,その規定にしたがった不支給等の処分が常に有効になるわけではなく,その退職金が給与の後払い的性格をもつ場合には,退職金を減額ないし不支給とするだけの十分な理由がなければならないと解されています。

相当かどうかの判断はなかなか難しいですが,懲戒免職が相当だとしても,退職金の全額不支給は不当という場合もあり得るのです。

3000万円の返納を命じた処分はどうでしょうか。

教員に対する信頼を失墜させたという評価は可能かもしれませんが,仕事自体はしっかりまじめにこなしていたとしたらどうでしょうか。

やったことはとんでもないことですが,執行猶予とはいえ懲役刑の判決を受けていますので,悪いことをした罰は刑事罰で十分に受けているとも考えられます。

教育委員会との関係で重ねて何らかの不利益を受けるのも仕方ないとは思いますが,3000万円です・・・。
金額からして給与の後払い的性格もあるように思われますし,評価の分かれうるところではないでしょうか。

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