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事件の糸口が見えるタイミング

2015.12.16 [ 小西 政広 ]

事件の解決にはアイディアが必要だと日々感じています。

知識だけの活用,あるいは前例通りの進め方で十分に解決できるものももちろんあります。

そういう事件は,スピードが大切です。

しかし,アイディアを出さなければ良い解決にならない事件については,スピードが命取りとなったりもします。

例えば,解決してしまった後,アクションを起こしてしまった後に,手遅れとなる状況でもっとよい解決のアイディアを思いついてしまった,という場合が想定できます。

最近も,何とか出来ないかと考えながら生活していてふと思いついたことが,依頼者の方に大変有利に働く理論構成となりました。その事件については,スタートが不利と考えていたため,依頼者の方と相談し,じっくり時間をかけて進めるよう打ち合わせしていたものでした。

そのようなアイディアは,短い期間で,根詰めて,同じ時間をかけて考えても必ず浮かんでいたものとはいえないと思います。

期限もありますので,プロとしてその期間内で最良のアイディアを出さなければいけないということもあります。

ですが,時間に余裕をもつということで,結果においてよりよいものとできることがある,ということは,お伝えしたいところです。

仕事が遅いだけなんじゃないかという声が聞こえてきそうですが・・・

日弁連弁護士名簿

2015.12.12 [ 神村 岡 ]

昨日のことになりますが,普段滅多に目にしない日弁連の弁護士名簿を見る機会がありました。

私は札幌弁護士会で総務委員を担当していまして,昨日は,総務委員の仕事として,弁護士会館内の資料保管室に保管されている資料のうち不要なものを廃棄するという仕事を担当していました。

総務委員会は,以前は弁護士会の忘年会と新入会員の歓迎会の企画運営くらいしか仕事がなかったのですが,最近ではいろいろと雑務が増えてきているのです。

さて,不要資料廃棄という仕事の最中にいろいろと保管室内を見て回ったのですが,棚の一角に日弁連の弁護士名簿が数十年前の分から保管されていました。

その数十年分の弁護士名簿を見て気づいたことが二つあります。

一つは,十数年以上前の名簿には,事務所の連絡先だけでなく,個人の自宅の住所も掲載されていたということです。自宅住所を載せるというのは,今だったらちょっと考えにくいですね。

もう一つは,ここ十数年で,名簿がかなりの勢いで分厚くなっているということです。棚に横一列に並べると,年々分厚くなっているのがよくわかります。
弁護士の数はここ数年で急激に増えていますので,これはある意味当然なのですが,とてもきれいにビジュアル化されていてちょっと面白かったです。

B型肝炎訴訟の訴訟準備について

2015.12.09 [ 小西 政広 ]

B型肝炎訴訟の相談がかなり増えてきています。

集団予防接種によりB型肝炎ウィルスに持続感染した方が国から損害賠償金を受け取るためには,訴訟・裁判をしなければならないとされています。

この裁判をする期限が,現時点で平成29年1月12日までと定められています。

注意が必要なのが,この期限というのが,この日までに弁護士に相談すれば何とかなるというものではない,ということです。

「集団予防接種によりB型肝炎ウィルスに持続感染した」

「そのB型肝炎ウィルスにより現在肝臓の病気になった」

この二つを証明するためには,通院していた病院のカルテが有効となるのですが,例えば,この病院のカルテについても,病院の側でコピーをしてもらうといった手続が必要となり,業務の都合もあって必ずすぐにやってもらえるとも限らないのです。

その他にも,資料を取得するために一定の時間がかかることがあります。

なんの資料も無く,急いで訴訟だけ提起してしまうという方法もありますが,後で資料を見てみたら該当しないことがわかるという事態も想定でき,その場合には裁判費用が無駄になってしまいます。

少しでも気になる方は,早めの相談をお勧めします。

運命の人

2015.12.07 [ 齋藤 健太郎 ]

先日,テレビで運命の赤い糸の話が出たところ,妻が,「運命の赤い糸ってあると思うわ〜」と言っていたので,おお,なんだか珍しく良いこというなあと思いましたが,よく考えれば,結ばれているのが誰かなんて話しは全くしていませんでした。
いまだに誰か運命の人と結ばれる夢でも見ている可能性もあります。
実際にその直後にも,ミュージックステーションを観ながら,ジャスティン・ビーバーが可愛いと大興奮していました。

それはどうでもいいのですが,先日,山崎豊子の「運命の人」という小説を読み始めました。
「白い巨塔」「大地の子」「沈まぬ太陽」などの作者です。
それまではテレビドラマで知っている程度だったのですが,NHKスペシャルで山崎豊子について特集していたのを観てからすっかりファンになってしまいました。
取材にかける時間・労力もすごいですし,「戦後」という時代への鋭い指摘も共感できるものがありました。

「運命の人」の題材となっているのは,「西山記者事件」という事件です。
実は,法律を学んだ人であれば,誰もが聞いたことがある事件ですが,山崎豊子の描くような視点で背景を考えたことは一度もありませんでした。

本来は,記者が,国家間の密約を暴くという話なのですが,証拠の取扱がよくありませんでした。機密を示す証拠を,当時の若手議員であった横路孝弘議員らに渡したところ,内容をそのまま明らかにしてしまい,その出所を追及されてしまいます。

慎重に扱えば全く問題がなかったのですが,そこから記者の人生は180度変わってしまいます。国民を欺した密約を明らかにしたことで賞賛されるはずの人間が,不倫の当事者,そして犯罪者として扱われてしまうのです。国家公務員法違反(秘密漏示)の教唆(そそのかし)という形で・・・。国民も裁判所も密約の存在という重大な問題を明らかにしたことの価値を全く理解しませんでした。
世間の目を背けるために作られた犯罪にすっかり乗ってしまったといえるのではないでしょうか。

密約は,その後,米の公文書の開示によって存在が証明されました。

さて,秘密保護法って覚えていますか?
国家に都合の悪い事実を明らかにした人であっても守られる世の中になっていますか?
私は,妻の運命の人にはなりたいですが,国家に翻弄される運命は嫌です。

心の疲れと回復について

2015.12.07 [ 齋藤 健太郎 ]

こういう仕事をしていると,どうしても心が疲れる瞬間があります。
依頼者の方からみれば,「疲れている場合か!死ぬ気でやれ!」という感じかもしれませんが,そりゃあ疲れるときもあります。

でも,疲れを感じる気持ちになることが,人間的な感情や,自然な感覚を保つために必要ですし,弁護士として良い仕事をするためにも必要なことだと思います。

実は,無理をすれば,走り続けることができるかもしれません。
しかし,疲れを感じなくなったら危険です。
良いアイデアや,高い集中力は,ただやり続けていれば生まれるというものでもありません。
ふとしたときに良い発想が生まれることがありますが,仕事をしているときではなく,何気なく他のことをしているときに思いつくこともよくあります。

また,弁護士という仕事は,色々なことに興味関心がないといけません。冬囲いにも関心がなければいけません。
そのようなフレッシュな気持ちがあって初めて事実をより良く知ろうという気持ちも生まれてきます。
小説を読んだり,映画・ドラマを観ることで,豊かな気持ちを取り戻すこともできます。
一昨日,ゲゲゲの女房の総集編の再放送を観たのですが,なんだか感動して何度か涙を流してしまいました。
まあ,私は少し病んでいるのかもしれません。

病んでいるといえば,北海道マラソン以降,脚の付け根の痛みが取れず,3ヶ月以上走っていません。
走りたくて仕方ないのですが,やはりここで無理をしても危険なのでまだ控えています。
徐々に体重も増加し,ストレス解消もできず,困っています。
こちらの疲れは予想外になかなか回復しないようです・・・。

冬囲い

2015.12.05 [ 神村 岡 ]

先日,自宅の庭に少しだけ生えている木の冬囲いをしました。

冬囲いは初めての経験でしたので,ネットでやり方を検索するところから始まり,ホームセンターに行って材料を買い揃え,半ば自己流でなんとかやり終えました。

今回が初めての経験でしたので,これまで冬囲いについて考えたことは一度もなかったのですが,いざ調べたり自分でやってみたりすると,当然のことではありますが,街を歩けばどこもかしこも冬囲いをしているなと今更ながら気づきました。

個人宅の庭から,大通公園,裁判所まで,どこへ行っても目にします。
しかもそれぞれ簡単なものからしっかりしたものまで様々に工夫を凝らしてあり,大抵はとても丁寧にされています。
ネットで調べなくとも,いくらでも良い見本は巷にあふれていましたというわけです。

それにしても,常日頃,関心がないものについては本当に意識を向けていないのだなとつくづく思いました。

身近なものについて新たに気づくことができるという経験はなかなか良いものです。

LINEを始めました

2015.12.02 [ 小西 政広 ]

IDをのっとられたとかよく聞くので,あまり気乗りしていませんでしたが,あまりに連絡用にLINEを使おうとする方が多いので,仕方なくやってみました。

すると,スタンプをたくさん買ってしまいました。

なぜか,スタンプでばかり会話をしてしまいます。

なんかこんなことばかりしていると,言葉の能力が落ちてしまうような気がします。

これだけLINEが流行しているところからすると,

人は常に文書で他人とのコミュニケーションをとることに少なからない障壁を感じていて,少しでも簡便に自分の気持ちを伝えられる文書を望んでいるということがいえるでしょうか。

いえないですか。

言葉にしなくても思考と感情をそのまま伝えられるツールができたら,やっぱりはやるんですかね。

出廷しないとどうなる?

2015.11.30 [ 齋藤 健太郎 ]

かの有名な野々村被告人が,初公判に欠席したとのことです。

昔,私が担当していた刑事事件でも,保釈されていた被告人が時間になっても現れず,非常に困ったことがあります。
何度電話しても出なかったため,これはもしかしたらトンズラこいたな・・・と思っていたところ,突然,法廷に現れました。裁判官もすぐには欠席扱いにせず,10分から15分くらいは待ってくれていたように記憶しています。
実は,傍聴席では別の刑事事件で逮捕しようと,多数の刑事が詰めかけていたため,被告人としては逮捕されることがわかっていて踏ん切りがつかなったのです。
案の定,裁判が終わった後に無事逮捕されました・・・。

刑事事件の場合には,基本的に被告人が出廷しないと手続を進められません。
しっかりと本人の参加のもとに手続を行うということです。
一定の軽い事件や控訴審などでは出廷しなくても良いのですが,例外的な場合です。

一方で,民事事件,すなわち犯罪を処罰するような場合ではなく,お金の貸し借りなどの事件については,弁護士が代理人として出廷していれば,それで十分です。本人が行く必要があるのは,尋問が行われる場合などに限られます。
ほとんど法廷に行くことなく進めることができます。

刑事事件では,本人が来ないと手続が進められないため,出廷しない状態が続けば,無理矢理連れてこられたりする可能性もあります。弁護人としては,そのリスクも十分に説明して,どうにか出廷をするよう勧めたに違いありません。
同様の経験をしたことのある私としては,何となく弁護人に同情してしまいますね。

ヒラモンスターの如く

2015.11.30 [ 齋藤 健太郎 ]

なんのこっちゃいと思われた方がほとんどでしょう。

ヒラモンスター,別名をアメリカドクドカゲといいます。
アメリカやメキシコにいるトカゲで,毒をもっています。

このヒラモンスターは,一度食いついたら離れないことで有名なようです。
食らいついたら離れないという意味のたとえとしても使われるようです。
日本でいえば「マムシ」でしょうか。
そもそも,マムシがそんなに執拗だというのはどこから来たのでしょうか。
基本的に噛みついたらすぐ離れるようですし・・・。

それはさておき,私が言いたかったのは,タフな事件を受けるときには,ヒラモンスターのようなど根性が必要だということです。
最初は,とても難しくてとても勝てないような事件だと思っても,事件の記録を繰り返し読み,様々な人の話を聞き,情報を集めて,文献を調査する。すると突然活路が見いだされる瞬間があります。
当然,全く見えないままの事件もありますが,最初から諦めることだけはしてはいけないというのが私の信条です。

最近もある事件で,記録を読みながら整理しているときに,ある発見をしました。
その記載が本当に私の考えているストーリーに合うものであれば,大きな裏付けになります。
そこから一気に事件が見えてきた気がしました。
実はこれまでに何人もの弁護士が関わって来た事案ですが,誰もそこには気がついていなかったようです。

この執拗さがいつか実を結ぶ日が来ると信じて頑張ります。

母国で死刑になる可能性があるから強制送還は違法

2015.11.28 [ 小西 政広 ]

http://mainichi.jp/select/news/20151128k0000m040154000c.html

本件は,在留特別許可がされるべきかどうか,ということが争点かと思いますが,在留特別許可をするかどうかについては,法務省のガイドラインがあります。

在留特別許可に係るガイドライン

母国で死刑になる可能性が高いこと,は特に在留特別許可をする要素として明記されていませんが,

その他人道的配慮を必要とするなど特別な事情があること

でしょうか。

母国の治安が非常に悪いとか,母国の法に基づかずに遺族などにより慣習として私刑が下される可能性が高いということであれば,「人道的配慮」に馴染むかと思いますが,本件では,母国で再び起訴され,法に基づいて死刑になる,ということを,日本として,人道的に配慮すべきだということになっています。日本が死刑を採用していないということであれば,より理解しやすいところですけどね。

結果として生命に危険が及ぶということに変わりはないので,結論は支持します。

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